冒頭、分科会の講師をされた成田万寿美さんが、被爆者の遺品の声を代弁したアーサーさんの詩『さがしています』を朗読されました。その中の「ピカ」という言葉。アーサーさんは、「ピカ」は爆心地近くで被爆した人から生まれた言葉で、遠ければ「ピカドン」と表現し、被爆時の爆心地までの距離がそこで分かるのだと説明します。
アーサーさんは来日後、日本語と英語の表現の違いに出会う中で、使う言葉の中に、その人の立ち位置が表われているということに気が付いたそうです。例えば、「原子爆弾」「核兵器」は、原爆を落とした側から生まれた言葉で、「ピカ」「ピカドン」は、被爆者側の立場に立った言葉だというのです。
アーサーさんは、「言葉を使うというのは、言葉の意味を背負い、引き受けることだ」とお話しされました。広島では日々、平和関連のニュースを扱います。原爆投下からまもなく69回目の夏。使い慣れた言葉たちの意味をもう一度考えてみたいと思いました。
14日(土)15:20〜
分科会(1) 場所:地下1F(会議運営事務室)
クラウドに上るデジタルで、テレビのしなやかなサービスへ
講師:月刊ニューメディア 吉井勇編集長
放送は「技術が生み出す文化」である。そして今、技術の進歩は放送と通信の連携へと向かい始めている。
東日本大震災のとき、一人の中学生がUstreamに配信した映像が話題を呼んだ。テレビが見られない人に向けて、NHKのニュース映像をiPhoneを使ってネット上に配信したのである。通常ならご法度のこの行動。しかしこれをきっかけに、NHKをはじめ各局でニュース映像のUstream同時配信が始まったり、NHKとGoogleが安否情報を共有したりと、テレビとインターネットの間にあった大きな「壁」が次々と打ち破かれていくことになった。
放送と通信の「いい関係」を実践しているもう一つの例が、日本テレビの「JoinTown」プロジェクトだ。災害に襲われたとき、まずテレビを使って一斉に避難指示を配信し、お年寄りを速やかに避難先に向かわせる。避難後の安否確認はスマホアプリを使って行われ、個々の細やかな管理が可能になっている。マスメディアとパーソナルメディアの強みを生かした、命を守る試みだ。
このような、技術の共有=クラウド化にチャレンジし、視聴者の求める「しなやかなサービス」を実現することが、メディアの今後を担うカギとなるかもしれない。
九州朝日放送労組 青木梨紗
分科会(2) 場所:地下1F(会議運営事務室)
一瞬で心をつかむ“笑声(えごえ)力”
講師:成田万寿美さん
本日、笑声力についての分科会に参加させていただきました。
声の伝え方には「感情ではなく情報を伝える声」と「思いや人柄を伝える記憶に残る声」の2つのパターンがあり、記憶に残る声というのが自声であり笑声になるということを学びました。
女性には、根っこでつながる力が強く、一つの縁を大事にする人が多いということで、やはりコミュニケーションが大事になってきます。コミュニケーションにもまず会話が大事で、言葉の量やその人の思いがのる声の質、どんな声で話すかが大事になります。
声は、うそをつけないそうで、力を抜くことや立ち方、座り方で声帯の緊張がやわらぎ、笑声(えごえ)で話せるそうです。自分の好きな事ばかり話してもダメで、相手の声を聴き、話上手より聞き上手が愛されると学びました。
声のトーン・スピードに寄り添い、相手のトーンに合わせ、思いが伝わる顔の体操(キューッパ体操とユーミー体操)とモチベーションがアップする魔法の言葉「うれしい♪たのしい♪だいすき♪」の言葉を気持ちを込めて伝えることを、とても魅力的な成田さんに教えていただいたので、毎日お口の体操をして、見た目も声も美人になれるように頑張りたいと思います。
読売テレビ放送労組(よみうりテレビサービス) 森内 望可
分科会(3) 場所:地下2F(コスモス)
ドキュメンタリー「X年後」上映会
放送マンとしての挑戦〜ビキニ水爆実験被害の真相を追う〜
講師:伊東英朗監督
南海放送の伊藤英朗ディレクターが制作したドキュメンタリー「放射線を浴びたX年後」上映会に参加しました。
3月11日東日本大震災。福島第一原発で爆発があり、放射線が放たれた。そこからさかのぼること60年前。アメリカが太平洋で行った核実験により日本の漁師たちは死の灰を浴びました。作品は、漁師たちの被ばくの真実を取材しています。当時の様々な証言が出てきます。「船員の多くが亡くなった」「死因は癌」。当時の船員の手記には「歯茎からの出血」「脱毛」などの症状が書き残されていました。
私の心に深く残ったのは、女性たちの闘いです。海に送り出した若い夫たちが帰ってきたら死の灰を浴びている。そして次々に若くして亡くなっていくのです。
しかし、訴えることはできない。国が相手の話だからです。個人が国に対してものを言うなんて、想像もできない時代でした。口を噤み、夫の体や子供への影響を心配しながら生きる妻たちはどれだけ悩み苦しんだか。考えるだけで胸が張り裂けるようです。
夫を亡くした女性が「運命と思わないとしょうがない」と話します。被害者がそう言うことしかできない社会を作り続けてはいけない。そのために、放送に携わる私たちは小さな声に耳を傾け続けなければならないと思いました。
テレビ東京労組 渋谷明里
分科会(4) 場所:地下1F(会議運営事務室)
アーサーのペテン学講座−入門編−
講師:アーサー・ビナードさん
最初はペテン学という言葉を聞いて、いかに人をだます事を教えてもらえると思っていたら、逆に我々が普段以下に騙されているのかということを感じた。一例は空港でのアナウンスである。18時30分のフライトが何らかの理由で変更となる場合、「新しい出発時間は…」というアナウンスが入る。この‘新しい’という表現は苦情が出にくくなるように心理操作している。言葉と意味をずらして言いたいことを表立たせないということを聞いてみると非常にわかりやすいが、今まで考えたことがなかったので、非常に新鮮に感じた。
最近では原発に関する報道が多くあるが、原発を再度運転することを初期には再稼働といっていたが、時を経るにつれ運転再開という表現に代わってきているということを講師のアーサー・ビナードさんの言葉を聞いて気づかされた。人間は言葉を意味でとらえようとするので、これを非常にうまく利用している。ペテンするときには選ばれた言葉には意味があるとのことだったが、普段いかに何も考えずに言葉を発しているかということを痛感させられた。言葉は良くも悪くも工夫ひとつで意味が広がるということを強く思った。
アーサーさんはペテン学を権力を見抜く学問にしたいとおっしゃっていたが、それだけでなく、悪を排除するためにも入門編だけでなく応用編へと広げ、更なるお話を伺いたいと思いました
宮城テレビ放送労組 菅原翔
分科会(5) 場所:平和記念資料館
平和記念資料館見学
ナビゲーター:高橋信雄さん
元中学教諭で原爆遺跡保存運動副座長の高橋信雄さんをナビゲーターとしての平和記念資料館見学。最低でも3時間かかるという見学コースを80分程度で!という無理難題にも関わらず、あの「ピカ」の瞬間から始まった人々の苦しみ、人類の課題について、ピンポイントで簡潔にかつ熱く語って頂いた。被ばく前後の爆心地を再現したパノラマや原子爆弾の模型の前で、原爆とはどんなものなのか?北朝鮮の濃縮ウランのニュースを世界中が注視するわけなどを伺うと、まさにあの日に起因する様々な問題が目の前に立ちあがってくるようだった。
概要的な説明の東館に対し、「被ばく」を生々しく体感する本館では、一次被害と二次被害の違い、その瞬間にどこにいたか、どんな姿勢だったか、違った「被ばく」の瞬間をまさに肌で感じる高橋さんの説明に何度も鳥肌がたった。直後を再現した人形は「悲惨すぎる」ため取り壊しが決まっており、今後は「実物」だけの展示になるという。
何をどう後世に伝えるか?私たちにも同じ課題が常にある。受けた痛みを「報復」ではなく、同じ想いを誰にもさせまいと、核の廃絶に向けて動いてきた広島で、「今」の情勢を改めて考えざるをえない体験となった。
テレビ東京労組 岩田牧子
オプショナルツアー
15日(日) 9:30〜12:30
場所:平和記念公園周辺
慰霊碑めぐり
ナビゲーター:高橋信雄さん
これまで観光旅行気分で訪れるにはあまりにも重すぎて、来ることの出来なかったヒロシマの街に、「女性のつどい」開催のお陰で、やっと足を踏み入れる機会を得ました。
高橋信雄さんの丁寧な解説を伺いながら、3時間ほど平和公園を中心とした慰霊碑や爆心地を巡ることができたのは本当に貴重な経験で、どの碑の由来も心を打つものでした。
解散後は、個人的に資料館や追悼平和祈念館などまわり、また、市街のあちこちにも様々な碑を見かけ、市内一円が、甚大な被害に合った現実をあらためて実感しました。
基調講演・分科会でのアーサー・ビナードさんのお話共々、「核の平和利用なんて有り得ない!」と改めて確信できました。
今回を契機に、今後も見聞や意識を深めたいと思います。
実行委員会の皆様には、心から感謝申し上げます。
南日本放送労組 瀬戸口 晴子
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