七三年も続く日米両政府による沖縄差別と辺野古新基地建設を許さない決議
六月二三日、少女は沖縄県糸満市摩文仁の沖縄戦全戦没者追悼式の会場にいた。「平和の詩」を朗読するために。事前の記者会見ではもじもじしていた一四歳の少女は、三権の長や閣僚らを前に、原稿に一度も目を落とすことなく、凛としたまっすぐな眼差しで、「戦力という愚かな力を持つことで、得られる平和など、本当は無い」と訴えた。
一方、追悼式では「私たちが享受する平和と繁栄は、沖縄の人々の筆舌に尽くしがたい困難と絶えることのない深い悲しみの上にある」と挨拶してみせた安倍晋三首相は式終了後の会見で、米軍のための辺野古新基地建設を「関係法令にのっとってやっていく」と述べた。「平和と繁栄を享受するのは本土の我々。その犠牲は沖縄」という、七三年前からの構図をこれからも続けていく意思を表した。原発事故被害の福島も同じ論理で片付けられていないか。
相前後して米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が沖縄本島南海上に墜落。名護市では演習中の米軍からとみられる実弾が、隣接する農家の小屋に撃ち込まれた。だが米軍は警察の捜査を拒否している。この国に米国の軍隊が駐留して七三年。在日米軍施設の七〇%以上を押し付けられている沖縄は、人権が無視され、基地があることで生まれる爆音被害と人命が奪われる事件事故で、県民の悲しみや怒りが癒えることはない。
韓朝首脳会談と米朝首脳会談が相次いで行われ、東アジアが緊張緩和へと向かおうとする流れに対し、安倍政権は北朝鮮と中国の脅威を煽り続け、辺野古新基地建設を強行する。ゲート前には警察を、海上では海保を動員し、埋め立て阻止に非暴力で抵抗する県民を拘束し、八月一七日に埋め立て土砂を投入すると通告してきた。これに対して沖縄県は七月二七日、前知事が行った埋め立て承認を撤回する手続きに入った。沖縄のたたかいは新たな段階を迎える。いま宮古島、石垣島では自衛隊の基地建設の動きがある。知らぬ間に全国で、オスプレイ訓練や日米合同軍事演習が進行する。辺野古新基地建設を許せば、この国すべてがさらに過重な基地負担を強いられることになろう。
「戦力で得られる平和などない」と一四歳の少女が発した言葉を繰り返そう。私たち言論報道機関に携わる者として、改めて沖縄と連帯し、七三年も続く沖縄への差別と、辺野古新基地建設を許さない闘いに、全力で取り組むことを誓う。
右、決議する。
二〇一八年七月二九日
日本民間放送労働組合連合会 第一二七回定期大会