労働法制改悪に反対する決議
【提案 労連本部】
今月二二日の施政方針演説で安倍首相は、同一労働同一賃金の実現により「非正規という言葉を一掃する」と述べた。しかし厚労省が昨年公表した働き方改革一括法案要綱は、過労死ライン以上に働かせる時間外上限規制や、労働時間管理をせず残業代も払わない高度プロフェッショナル制度、裁量労働制の対象業務の拡大、多様な就業形態の普及を追加した雇用対策案など、労働者のいのちと健康や雇用を脅かすものであり、同一労働同一賃金への道筋は示されていない。
厚労省が二〇一六年に発表した「働き方の未来2035」の中では、「雇用関係によらない働き方」が提起されている。すべての働くという活動も、相手方と契約を結ぶ以上は民法が基礎になると書かれているが、当事者間の自由で対等な契約を理想としており、実際には企業が雇用責任を問われず、労働者が保護されない働き方にほかならない。
EUの欧州司法裁判所(ECJ)では、業務委託であっても使用従属性や経済的な従属性が高い働き方であれば、労働者保護法制の対象とする判断を示した。世界の動向に逆行し、労働者の権利が奪われるようなことがあってはならない。
さらに、経営者に雇用継続の義務を免れさせる「解雇の金銭解決制度」の法制化の検討が再び進められている。これは、私たち労働者の雇用と生活を大きく脅かす制度であり、今後この制度が導入されれば、これまでの労働者派遣法や労働契約法のように悪用されることは明らかだ。塩崎前厚生労働大臣が財界との懇談会で高度プロフェッショナル制度について「小さく産んで、大きく育てよう」と発言したことは、まさに経営者の本音を代弁しているに等しい。
春闘では、慢性的な長時間労働の解消や賃金・労働条件の改善によって、働き甲斐のある人間らしい仕事や職場を目指すとともに、経営の論理を優先する労働法制の改悪には、断固として反対していく必要がある。
そして労働契約法と労働者派遣法のいわゆる「二〇一八年問題」について、経営者に都合のいい解釈での運用を許さず、すべての労働者の雇用と生活を守り、将来にわたって安心して働ける職場にしていくことが、放送業界でも当然求められている。
すべての労働者の雇用と生活が守られ、安心して働ける社会の実現に向けて、労働法制改悪に断固として反対していこう。
右、決議する。
二〇一八年一月二八日
日本民間放送労働組合連合会 第一二六回臨時大会