組織を拡大し、民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議
電通の過労自殺事件の労災認定を契機に、政府が進めている「働き方改革」は、異常な長時間労働の解消が議論の中心となった。この問題は、民放産業も「他人事」で済ますことはできない。すでにキイ局などでは長時間労働の改善をはかる動きがあるが、効果は不確実であり、サービス残業につながっては本末転倒だ。果たして民放産業全体での長時間労働解消は図れるのだろうか。
多くの大企業が「働き方改革」に積極的に取り組んでいるが、そのしわ寄せが中小零細企業や下請企業に付け回されるようでは意味がない。そして日本の労働者人口五四〇〇万人のうち二〇〇〇万人を超えている非正規雇用者が、劣悪な賃金労働条件のまま、さらに増えていくことを見過ごすわけにはいかない。
「賃金が安くても放送の仕事をしたいという若者は、いくらでもいる」と豪語した放送経営者たちは、総額人件費削減のため社員数を減らすとともに賃金抑制に邁進し、派遣や業務委託も増やしていった。低賃金の労働者が増えることにより、「民放はブラック企業」という認識が広まり、放送業界を志望する人が減っている。
新入社員は限られた人数しか採用されず、民放の成長期を支えた多くのベテランが次々と職場を離れる中、働き盛りの世代の離職も年々増加している。
このような状況の中、放送を支える人材を、放送局ではなく関連プロダクションや非正規労働者に依存していく傾向は今後一層顕著となっていくであろう。
今こそ、民放で働くすべての労働者の賃金を引き上げ、長時間労働を解消し、人間らしい生活ができる環境を作っていこう。そのためには企業の枠を超えて民放労働者が団結していく必要がある。目前の二〇一八年問題で解雇される仲間が出ないよう、様々な条件で働く未組織労働者に組合への結集を呼びかけ、ひとりでも入れる組合を全国に広げていく。今までの枠にとらわれない民放労連の姿を追求していこう。
本当の意味での民放労働者のための民放労連を目指し、労働者目線の同一労働同一賃金を実現するべく、民放で働くすべての労働者を結集させていこう。
右、決議する
二〇一七年七月三〇日
日本民間放送労働組合連合会 第一二五回定期大会