大会アピール
今年で施行七十年の節目を迎えた日本国憲法。戦争による死者を一人も出すことなく、平和を守り続けてきた。この憲法に対して、安倍首相は憲法記念日に、憲法「改正」を二〇二〇年までに行うと発言した。人類が獲得した普遍的成果としてのこの憲法を、主権者の声も聴かず、独断で変えることが許されるのか。私たちは、立憲主義に基づく平和を堅持し、表現の自由と放送労働者の生活を守るという使命を胸に、暑さ厳しい富山に結集した。
いま、放送の仕事から離れ、また就職先として選ばない若い労働者が増えている。蔓延する長時間労働や局の正社員と関連会社の労働者との間の格差などが原因だが、是正への動きはまだ鈍い。長時間労働対策では、テレビ朝日労組が休日の取得奨励日を獲得して成果を上げる一方、読売テレビでは管理職が勤務表の改ざんをしてまで目標を達成しようとしていると報告があった。労使ともに的確な対応が見いだせない中、民放労連でモデルケースを考えていきたいという提案もあった。放送を守るため、長時間労働の削減、組合員の賃上げ、それに構内スタッフの賃金を改善していくたたかいを強化していこう。
政府は「同一労働同一賃金」を含む「働き方改革」を打ち出す一方、「解雇の金銭解決」や「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」の法制化を推し進めようとしている。安倍政権による労働法制の改悪には断固として反対していく。また、2018年問題では、不安定雇用の労働者の雇止め問題が発生しないよう、労組が日頃から派遣労働者や構内スタッフと向き合う姿勢が求められている。
組織拡大は労働組合が経営との力関係を優位に保つ最も有効な手段だ。「一万人の民放労連」をめざす「構内労働者プロジェクトⅡ」で、私たちは企業内組合からの脱却の重要性を学んだ。構内スタッフの組織化で着々と成果を挙げる京都放送労組の取り組みを労連全体に広げる必要がある。また、構内スタッフの待遇改善や慰労金支給の取り組みを今後も進めるとともに、企業内最賃協定を締結する意義を理解し、すべての組合で要求を出していこう。
辺野古の新基地建設に絡み、沖縄県が7月24日、国を相手に五度目の提訴を行った。沖縄の仲間からは県民の声に耳を傾けず、建設に突き進もうとする国の理不尽な姿勢に対する怒りの声が上がった。
テレビ神奈川労組は20年にわたる未消化代休問題を地方労働委員会のあっせんにより全面解決した。労働委員会という公的機関はもちろん、労連本部や地連、規模別共闘、全国の労連の仲間、さらに県労連や地区労まで巻き込んだことが成果につながった。
多くの市民や労働組合などの反対にもかかわらず、「共謀罪」関連法が成立した。共謀罪は二七七もの犯罪を対象にし、表現の自由や内心の自由を制限。プライバシーの侵害や監視社会が広がるおそれがある。共謀罪法の廃止を求めるあらゆる取り組みに積極的に参加しよう。今求められているのは、国民誰もが平和で安定した人間らしい生活。「新自由主義改革」で広がる社会の閉塞感を払しょくするために、私たちは放送の持つ社会的責任をあらためて自覚し、すべての放送労働者の団結で、「いのちと健康」「雇用と生活」を守っていこう!
二〇一七年七月三〇日
日本民間放送労働組合連合会 第一二五回定期大会