日米両政府による沖縄に対する弾圧を許さない決議
去年一二月一三日、在沖米海兵隊のMV22オスプレイが沖縄県名護市安部の海岸に墜落し、大破する事故が起きた。普天間飛行場配備から四年で初の重大事故。これまで多数の死者を出している“欠陥機”オスプレイによる事故は当初から予測されていたものの、原型をとどめない機体の残骸が報道されると、県民に大きな衝撃を与えた。
墜落現場は、普天間飛行場の移設予定地となるキャンプ・シュワブにほど近く、新基地が建設されればオスプレイの訓練が周辺では日常のものとなる。日増しに高まる沖縄県民の怒りと抗議の声をよそに、米軍は事故からわずか六日後に飛行再開を強行し、日本政府は理解を示す声明を発表した。さらに米軍は、墜落から一ヵ月も経たない一月五日に事故原因となった空中給油訓練の実施を強行。日本政府はまたしても米軍の対応を追認した。
在沖米軍トップは事故直後に「県民や住宅に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ」と居直り、訓練再開を強行した姿勢からも分かるように、これが米軍の本音だと言わざるを得ない。いまだ植民地意識から抜け出せない米軍と米政府。無批判に追随する日本政府。戦後七二年、沖縄の本土復帰四五年を迎えようとする中、この構図は一ミリも変わっていない。
こうした中、SNSを中心に、沖縄への基地建設に反対する人々への根拠無い中傷が広がっている。客観的な事実や真実よりも、ネット空間で繰り返し垂れ流される感情的な訴えかけが世論に影響を与える「ポスト真実」という言葉がある。米国では大統領選挙で根拠の無い情報が拡散し続け、結果に大きな影響を与えたとさえ言われている。その大きな波が、われわれの足元にも押し寄せている。
東京MXテレビが一月二日に放映した「ニュース女子」は、ネット上にあふれている沖縄に対する根拠無き中傷やデマをそのまま垂れ流した意味で、「沖縄ヘイト番組」と言われる。沖縄本島北部の米軍北部訓練場で、オスプレイが使用する着陸帯の建設に反対する市民らを犯罪者やテロリストのように扱った上、反対する人たちが「五万円の日当」を支給されているなど、当事者に直接取材を行わず客観的裏付けがない一方的な内容が放送された。外部の制作会社による持ち込み番組とはいえ、事実と異なる内容を放送し続けることは放送倫理規定に違反するのは明らかである。報道機関としての自律が問われるこの事態を、われわれメディアで働く人間は真剣に捉えなければならない。
辺野古の海では、二月にも沖縄防衛局によって大型のコンクリートブロックが投入されようとしている。豊かなサンゴ礁はまたしても破壊され、キャンプ・シュワブのゲート前では市民らと警察が激しく衝突するあの光景が再び繰り返されることになる。
工事を進める沖縄防衛局は、一月一八日に県内報道各社に対し、キャンプ・シュワブ沖に設定された最大二・三キロメートルにおよぶ臨時制限区域内に立ち入らないよう文書で通知した。正当な理由なく立ち入った場合、刑事特別法の規定で罰せられる可能性にも言及している。県内では新基地建設に反対する声が根強い中、本格的な工事開始を前に取材活動を委縮させる狙いがあると言える。憲法で保障された表現の自由を大きく損ねる暴挙・弾圧である。到底許されるものではない。
われわれ民放労連は、欠陥機オスプレイの日本からの即時撤去を強く求めるとともに、辺野古新基地建設断念と東村高江のヘリパッド撤去を粘り強く求めていく。
右、決議する。
二〇一七年一月二九日
日本民間放送労働組合連合会 第一二四回臨時大会