日本政府による沖縄に対する植民地的暴力を許さない決議
【提案 沖縄地連】
空も海も「沖縄ブルー」に染まる豊饒な真夏。照り付ける太陽の下、県内各地は農作物の収穫に追われ、その喜びである今年の豊作に感謝し、来る年の夏の豊饒を願う「豊年祭」でにぎわう。だが、今年は祝いの場が無残にも切り裂かれてしまった。引き裂いたのは誰なのか!
参議院議員選挙の投開票の翌日、この国の政権は沖縄に牙をむいて襲い掛かった。名護市辺野古の北隣にある東村高江地区を囲むように造られる、アメリカ軍に提供する施設でのオスプレイの着陸帯建設に反対する住民にである。通称ヘリパッド。だが単なるヘリコプターが離発着するしろものではない。あのオスプレイのための滑走路といっても過言ではない。
人々はヘリパッド建設阻止のために県内各地から詰めかけた。ところが政府は警視庁をはじめ沖縄以外の府県から機動隊五〇〇人を動員。しかも私服の公安警察五〇〇人も投入しているといわれている。あわせて一〇〇〇人が県道を封鎖し、反対する住民を強制排除してヘリパッド建設の資材搬入を手助けしているのである。
沖縄の人々は、参議院議員選挙で名護市辺野古での新基地建設を進める沖縄選出の現職大臣を落選させた。県内移設反対の公約を反故にして安倍政権から沖縄担当大臣に任命された人である。しかもおよそ一一万票近くの大差はまさに沖縄県民の怒りの表れといえよう。県民はその前の衆議院議員選挙でも沖縄四選挙区すべてで自民党現職に見切りをつけている。これが沖縄の「民意」である。
今夏の参院選は「東北の乱」ともいわれたが、「民意」はその土地土地で決まるものだ。そこに住む人々の意思を汲まずに顧みない権力も、国策にあらがわず知らんふりを決め込むメディアも猛省すべきではないか。
沖縄県の翁長雄志知事は「政府は全く聞く耳を持たず、強行に新基地建設を推し進めることは民主主義国家のあるべき姿からは程遠いと言わざるを得ない」と厳しく批判した。
沖縄はここまでやりたい放題されてきた。EU離脱を決めた英国では一部が独自でEUに留まることも議論されているという。沖縄は「琉球」として自己決定権を取り戻そうという選択肢が現実味を帯びてくるかもしれない。強権的な政府の沖縄に対する植民地的感覚と言うしかない暴力は絶対に許してはならない。許せば強権は国民すべてに襲い掛かる。その闘いの一里塚が沖縄である。われわれ民放労連は、権力による沖縄への差別的暴力に抗議するとともに、辺野古新基地建設および高江ヘリパッド建設を断念に追い込み、米軍基地の全面撤去を強く求めていく。
右、決議する。
二〇一六年七月三一日
日本民間放送労働組合連合会 第一二三回定期大会