世界一危険な普天間飛行場の無条件撤去を求め、
辺野古の新基地建設に反対する決議
仲井眞前沖縄県知事が二〇一三年一二月、公約を撤回して沿岸埋め立てを容認して以降、政府はここぞとばかりに名護市辺野古での新基地建設を進めている。米海兵隊キャンプシュワブのゲート前では本土から派遣された機動隊員により、また海上では海上保安庁の保安官により、反対住民の強制排除が過激さを増し、けが人が続出している。暴力によらない正当な抗議行動に対し、政府はますます圧力を強めている。
ここ数年、沖縄県内における選挙では、基地建設反対の公約を掲げる候補者が当選を続けている。一昨年の衆院選では「辺野古新基地建設反対」を公約に掲げて当選しながら、ただちにその公約を覆した現職議員をすべて選挙区落選に追い込んだ。これは明らかな県民の怒りの表れであり、新基地建設反対という大きな「民意」である。しかし、政府は「沖縄県民に寄り添う」と言いながら、この「民意」には一切耳も貸さず、辺野古新基地建設を強行している。
そのような状況下で行われた、今年一月の普天間基地を抱える宜野湾市長選挙。「オール沖縄」の支援を受け、辺野古新基地建設反対を訴える志村候補と、基地問題には一切触れず普天間基地の危険性除去だけを訴えた現職の佐喜眞候補との一騎打ちとなった結果、政府の強力な後押しを受けた佐喜眞氏が勝利した。政府は「宜野湾市民は辺野古基地容認」と受け止め、菅官房長官に至っては「オール沖縄は実態とかけ離れている」と述べている。
しかし、市長選において琉球新報と毎日新聞、共同通信が実施した出口調査では、政府の辺野古新基地建設の評価は五四・九%もの市民が支持しないと答え、支持するとした人は三三・八%にとどまった。つまり、宜野湾市民の「民意」もはっきり「新基地建設反対」なのである。これまで沖縄県民が選挙を通して示し続けた「民意」は無視し、今回の宜野湾市長選のような、自分たちの都合のいい「民意」は持ち上げるという政府のやり方は、「民意」を都合良く使い分ける偽善としか言いようがない。
名護市辺野古への新基地建設をめぐっては、翁長雄志沖縄県知事の辺野古埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求めて国土交通相が提起した代執行訴訟も行われている。裁判で沖縄県は「国がまるで一国民であるという立場で、沖縄県知事の行政権限を奪う主体になることは無理がある」と違法性を主張している。憲法が保障する地方自治の原則を踏みにじる政府とは一体何なのか。
もともと国土面積の〇・六%しかない沖縄県に在日米軍専用施設の七三・八%が集中しているという現状こそ、沖縄に対する差別構造そのものではないか。その上さらに辺野古の美しい海に新基地を建設する道理はない。しかし、沖縄県内のメディアがいくら力をこめて主張しても、本土の人々にその声はなかなか届かない。私たち全国のメディアに働く者の間にも、無意識の差別感が蔓延していないだろうか。そして、これは沖縄という一地方の問題ではなく、日米外交の問題であり日本国民全体の問題に他ならないことも、私たちは強く意識しなければならない。
私たち民放労連は、沖縄県民の闘いと連携するとともに、政府によって都合良く葬られようとする真の「沖縄県民の民意」を全国に発信し、米軍が恒久的に存在し、戦争の装置としての辺野古新基地建設に反対することを、ここに決議する。
二〇一六年一月三一日
日本民間放送労働組合連合会 第一二二回臨時大会