立憲主義の否定を許さず、
憲法の理念実現のための不断の努力を宣言する決議
参院選を控えた今年、安倍晋三首相は、改憲勢力で参院の三分の二を占めることに、年初より強い意欲を示している。夏の参院選で改憲を是とする勢力が八〇議席程度を得れば、自公連立で三分の二を確保している衆院と合わせ、憲法改正の発議が可能となる。
安倍首相は、有事や災害などの緊急時に、首相が法律と同等の政令を制定し、国民の権利を制限できる緊急事態条項の創設などを突破口に、国民が受け入れやすいところから着手し、改憲の実績を作る方針だ。安倍首相が執念を燃やす「憲法改正」の真の意図が、憲法の性格を国家権力を拘束するものから国民を拘束するものへと変え、基本的人権に制限を加えようというものであるからだ。
二〇一二年に発表された自民党の憲法改正草案は、現憲法の「公共の福祉」に代えて「公益及び公の秩序」にすべて置き換え、国民の自由および権利の範囲を解釈次第でいくらでも制限できる可能性を条文全体で実現しようとしている。
去年九月、自民党政権は、世論の過半数が反対し、憲法学者の圧倒的多数が「憲法に違反する」と声を上げるのを無視し、集団的自衛権を行使して海外の戦争に日本が荷担することを可能にする「戦争法(安保関連法)」を、強行採決によって成立させた。憲法を守らない首相が、今度は自らの意に沿う憲法に変えようとする。このような暴挙を断じて許してはならない。
私たち民放労連は、立憲主義をないがしろにし、国家のために個人の権利を制限し、海外での武力行使を認めようとする「憲法改正」には、断固反対する。
憲法第十二条は、私たちが手にする自由及び権利は、「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定め、自由と平和を守るための努力を要請している。この要請に今こそ応えよう。現憲法を尊重維持し、それを活かして行くために運動を続けることを、私たちはここに宣言する。
右、決議する。
二〇一六年一月三一日
日本民間放送労働組合連合会 第一二二回臨時大会