大会アピール
報道機関は安倍政権からの圧力や介入に委縮し、真実を伝えることに腰が引けているのではないか。「番組や紙面には知りたいことが出ていない」という、少なからぬ国民からの批判の声が高まる中、私たちは東京・両国で開かれた民放労連第一二二回臨時大会に集まった。
安倍政権や与党自民党によるメディア攻撃が止まらない。朝日新聞に始まり、NHK、テレビ朝日、琉球新報・沖縄タイムス、そしてTBS。去年一一月、番組で安保関連法に批判的姿勢を示した『NEWS23』のアンカーマン岸井成格氏を放送法四条違反と名指しで攻撃する「市民団体」の全面意見広告が一部の新聞に掲載された。意見は放送法本来の趣旨を理解していない的外れの内容で、戦争法(安保関連法)の違憲性を国民に伝える表現の自由を封じることが目的であることは明らかだ。私たちは、引き続き「戦争法廃止を求める統一署名」に積極的に取り組んでいくことを確認した。
三年連続で、政府による賃上げ要請が経済界に対して行われている。しかし、物価の変動を考慮した労働者の実質賃金は二四ヵ月連続で低下している。輸出関連を中心とした大企業と、中小企業との賃金格差は広がる一方だ。民放労連も昨年の春闘や年末闘争では大幅賃上げを実現できていない。16春闘では、生活を防衛するための賃上げ=ベースアップを必ず勝ち取らなければならない。一年また一年と勝利を積み上げることで、十年先の未来に希望が持てるようなたたかいを展開しよう。
一方で、安倍政権による労働法制の改悪が進められている。労働者派遣法の改悪に引き続き、先の国会で継続審議となった「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」と「企画業務型裁量労働制の適用範囲拡大」を柱とする労働基準法の改悪が今国会で審議されている。さらに「解雇の金銭解決ルール」も法制化が検討されている。これらの制度は、企業利益優先で労働者を使い捨てる「ブラック企業」をますます増長させ、私たちが求める「ディーセント・ワーク」の対極にあるものだ。
私たちは「一万人の民放労連」をめざし、「構内労働者プロジェクト」を継続している。これまでの「正社員組合」からいかに脱却するのかが、労働組合に問われている。沖縄県ではRBCビジョン労働組合が労連に加盟するという嬉しいニュースもあった。京都放送労組が実践しているように、構内労働者の問題を自らの問題として位置づけ、組合として要求化し、改善を勝ち取っていくことで、構内労働者の組織化に取り組もう。
沖縄では名護市辺野古に米軍新基地を建設する計画が、県民の声を無視して強引に進められている。〇・六パーセントの面積に七三・八パーセントの在日米軍専用施設がある理不尽さを当たり前のことのように許してはならない。大会では、沖縄地連の仲間から、辺野古新基地建設をめぐる国と沖縄県の裁判や宜野湾市長選挙などについて発言が相次いだ。私たちは新基地建設をはじめ、在日米軍の再配置・強化に反対し、沖縄など国内の米軍基地の縮小・国外移設を求める。
平和国家と言論・表現の自由を守るため、労働組合が力強く声を上げなければならない。今こそ職場と暮らしに憲法を活かし、放送の未来につなげる16春闘を、力を合わせてたたかい抜こう!
二〇一六年一月三一日
日本民間放送労働組合連合会 第一二二回臨時大会