報道機関各位
日本民間放送労働組合連合会
日頃より、日本民間放送労働組合連合会(以下、民放労連)の活動にご理解・ご協力をいただき、ありがとうございます。
民放労連は、日本新聞協会、日本民間放送連盟に対して、提供しているニュース記事に関して、ニュース配信サイトやアプリを運営するIT企業への価格転嫁を進めるよう、つまり記事使用料の値上げを求めるよう強く要請しました。 申し入れの全文はこちらです。
新聞協会 https://www.minpororen.jp/?p=2777
民放連 https://www.minpororen.jp/?p=2781
2023年9月 公正取引委員会の実態調査結果
2023年9月、公正取引委員会は、ヤフーなどの巨大IT企業が運営するニュース配信のポータルサイトやアプリに対して、ニュースの提供元である報道機関に支払う記事使用料の差が大きいことをめぐり、「優越的地位の濫用」となり得るという実態調査を公表しました。この公正取引委員会の公表により、私たち新聞社やテレビ局が苦労して取材・出稿したニュース記事がいかにIT企業によって安く買いたたかれているか、その一端が初めて浮き彫りとなりました。 (2023/9/21 日経新聞)
マスメディアは「価格転嫁ができていない業種
政府は、2024年1月に労務費や原材料費の上昇分を価格転嫁できていない22の重点業種を発表しましたが、ここで「映像・音声・文字情報制作業」が名指しされています。マスメディアは政府から価格転嫁を進めるようすでにお墨付きをいただいているにもかかわらず、その後も価格転嫁は進んでいるとは言えません。
ニュース記事は「タダ」では書けない
私たちが取材し、出稿した記事は安く買いたたかれるべきものではありません。国民の知る権利に対し、取材を尽くし、十分な情報を提供することは、なくてはならない「社会のインフラ」です。取材や出稿、配達・放送を含め、記事を出稿のための、原材料費や交通移動費、それに物流費や人件費などあらゆるコストが上昇している中、ニュース制作現場でも費用削減を強いられ、労働環境にも影響が見られるのが実態です。
「価格転嫁」できていないことが賃金に影響、離職者も増えている
こうしたコストアップ分を十分に価格転嫁することで、各企業やその下請け企業が十分な賃上げを一段と進めやすくなると考えますが、これまで十分に価格転嫁を進めてこなかったことで、賃上げが遅れ、新聞業界、テレビ業界の私たちのもとから、何人もの優秀な同僚たち・仲間たちが離職や転職で去っていきました。私たちは、これ以上人材流出が進めば、両業界の存続が危ういという危機感をかつてないほど強く持っています。
今年の賃上げは社会的な要請、時代の要請です。価格転嫁は労使共通の課題だと考えます。
今後民放労連では、公正取引委員会をはじめとした政府やIT企業にも同様の申し入れを進める予定です。
問い合わせ先: ⺠放労連 03-3355-0461 info@minpororen.jp