新型コロナウイルス対策で4回目の「緊急事態宣言」が出されている状況下で、1年延期となった2020東京オリンピックが開催されている。連日の猛暑の中、各国の選手たちによる熱戦が繰り広げられる一方、感染者の急増で医療体制がひっ迫し、メディアを飛び交う情報も錯綜している。私たちは今年もオンラインで民放労連第133回定期大会を開催した。
大会では、会社合併への組合の対応や、新人事制度と賃金闘争、また平和課題や政治的な問題への取り組み方や企業内組合からの脱却など、運動方針や労連のあり方について活発な意見が出された。また、会費引き下げの規約改正案については、労連活動の縮小を懸念する声も聞かれる一方で、若手の組合員の結集のために歓迎する発言も複数出された。加えて、仕事にも育児にも忙しい働き世代の立場から、大会を土日ではなく1日開催とするよう求める意見も多数あった。これまでのあり方も見直して、若手組合員の民放労連活動への一層の参加を期待したい。
安心して働ける放送業界とするためには、各種ハラスメントの根絶が必要だ。民放における男性中心の職場環境を改めるためにも、ジェンダーバランスの改善も急務となっている。女性協議会による民放テレビ・ラジオ局の女性割合調査は、企業の最高幹部や番組制作部門の責任者に女性がいない放送局が多数に上ることを具体的なデータで明らかにした。メディアのジェンダーバランスの不均衡は、報道や番組の内容に影響し、ひいては社会的な課題の設定にも波及する。経営者たちの意識変革を、労働組合からも強く働きかけるチャンスと捉えよう。
朝日放送ラジオ・スタッフユニオン争議は、大阪府労委での労働者側勝利命令の後、中労委で会社側がようやく和解に応じた。中労委は会社側に対して再発防止を強く要請している。4年以上に及んだたたかいが解決したことをともに喜び、これまでの苦労をねぎらいたい。一方、よみうりテレビサービスでの解雇争議では、会社側は理由の明示もなく回答を引き延ばす不誠実な態度を続けている。大会では、早期解決に向けて民放労連全体で支援することを確認した。
いわゆる「同一労働同一賃金」を定めた「働き方改革関連法」は、今年4月から中小企業にも適用が拡大されている。労連内でも、非正規で働く仲間に正社員と同等の制度適用や手当支給を認めさせるなど、不合理な格差を改善させる成果がみられる。この動きを全体に広げよう。
民放経営者と私たち組合員は、共に放送の将来を明るく確かなものとし、魅力的な放送産業としていく義務がある。今こそ、経営者と労働組合との真摯な対話を通じて、次代の放送を切り拓く時期に来ている。民放労連が主催した6月のオンラインシンポジウムでは、今までの古い考え方を捨てて、新たな経営の考え方を導入する必要があることが指摘された。放送が人々から頼りにされるメディアであり続けるために、そして、これから数十年、生き残っていくために、働く者にとって希望の持てる産業とするために、未来ある放送の将来を、労働組合の既存の考え方を変えて、会社と対等な立場で自分たちの将来を共に考えていくことで、自らの力で作り出していこうではありませんか。
2021年8月13日
日本民間放送労働組合連合会 第133回定期大会