2019年10月31日未明、沖縄のシンボルともいえる首里城の正殿と北殿、南殿が焼失するという事態に、県民に衝撃と悲しみが広がった。一日も早い再建が待たれる一方で、米国の施政権下から本土に復帰して48年を迎える今年、これまで住民らは「基地なき沖縄」を求めたが、いまだに国土面積の約0.6%の沖縄県に在日米軍専用施設の約7割が集中している現実がある。
令和の時代となっても、米軍基地負担は重いままだ。沖縄県名護市安部沿岸で2016年12月、米海兵隊のオスプレイが墜落し大破した事故で、昨年12月、那覇地検は航空危険行為処罰法違反の疑いで書類送検された当時の機長を不起訴処分とした。16年前の沖縄国際大学ヘリ墜落事故でも、裁判権がないとして米軍整備士4人が不起訴処分となっている。公務中の罪は米軍に一次裁判権があるとする日米地位協定の前に、日本の捜査権は全く無力だということが今回も証明された。
これら事案の根本にあるのは、不平等な日米地位協定の存在である。地位協定を巡っては、昨年7月、米軍機が基地の外で事故を起こした際の方針や対応について定めたガイドラインを改定。事故が起きた際、日米の責任者が「迅速かつ早期」に制限区域内に立ち入りが行われると明記。また、米軍から日本に対し、事故によって流出する有害物質の情報を速やかに提供することなども加えられた。今回の改定で日本側の権限は強化されたようにみえるが、立ち入りには日米の合意が必要という点は変わらない。重大事故が度々不起訴とされる現実こそが、地位協定の根本的な欠陥である。
昨年12月には金武町伊芸区の民間地に米軍の照明弾が3個落下。米軍は訓練中に使用した照明弾であることを認め、使用を一時的に中断していると説明。だが照明弾が落下した訓練内容や経緯は明らかにしていない。原因が定かでない中、射撃訓練は続行され、沖縄では空から何が落ちてくるかわからないのが現状だ。
新しい年を迎えたが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に向け、政府が埋め立て予定区域への土砂投入を開始して1年余りが経過した。埋め立て工事が進められている現場では、美しい辺野古の海が日に日に失われている。建設予定地では軟弱な地盤が確認されて、政府は今年度中に沖縄県に設計変更を申請したい考えだが、県は変更後の計画を承認しない構えで、対立は激しさを増す見通しだ。昨年2月の県民投票で示された「反対」の民意を尊重せず埋め立てを進め、隠してきた軟弱地盤や高さ制限の問題などが明るみになってきた今、私たちマスメディアが「沖縄でいま何が起きているか」を国内外に発信し、現地の民意を踏みにじり、問題が発覚した工事をすぐに中止し建設の見直し・撤回を求めていく。
右、決議する。
2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会