民放労連第130回臨時大会「安倍政権のさらなる労働法制改悪に反対する決議」(2020年1月26日)

 安倍政権は、「一億総活躍プラン」を掲げて「働き方改革」を打ち出し、これまでに労働者派遣法と労働契約法が経営者目線で改悪され、有期雇用労働者に大きな雇用・生活不安を与えた。そして昨年の「改正」労働基準法では、「労働時間上限規制」と「有給休暇5日取得義務」が罰則付きで施行されたが、同時に残業代ゼロ制度「高度プロフェッショナル制度」も施行された。この「高プロ制度」は、労働時間の概念を取り払い、一定の要件を満たせば労働基準法の枠外に置かれ、長時間労働が助長されることとなる。そして今国会では「安倍働き方改革」の次の重要法案が準備されている。それが「解雇の金銭解決制度」と、一昨年の国会で法案から削除された「裁量労働制の適用範囲拡大」である。

 「解雇の金銭解決制度」では、たとえ裁判などで「解雇無効」の判決が出たとしても解雇を撤回する必要はなく、「金銭的補償で労働契約を解消する」ことができることになる。労働契約法第16条における解雇権の濫用が争点となった「日本IBMロックアウト解雇事件」は「解雇自由」につながる事件であり、判決では会社の違法性が認められ、裁判に勝利した組合員は和解して職場復帰を果たした。しかし、「解雇の金銭解決制度」が認められれば、正社員を含むすべての労働者が解雇対象者となり、たとえ裁判で労働者が勝利したとしても、本来の目的である「職場復帰」が閉ざされるおそれがあるばかりでなく、経営者は一定の金額を支払えば「違法解雇する権利」を買うことが出来る制度となり、乱暴な解雇が増えると言っても過言ではない。日本経団連も従来の日本型雇用制度=終身雇用制の見直しを表明しており、雇用と生活を破壊するような法律には断固として反対していく必要がある。

 さらに、政府が法案作成の検討資料として用意したデータが不適切だったために法案から削除された「裁量労働制の適用範囲拡大」は、日本経団連をはじめ企業経営者が導入を強く望んでいる労働基準法の「改正」であり、今後も法案が通るまで繰り返し提案されることは間違いない。安倍政権が法制化を目指す「解雇の金銭解決制度」とともに反対していく必要がある。

 ここにあらためて弱い立場に置かれている労働者を守るための労働法制改悪につながる「安倍働き方改革」に強く反対の意思を掲げ、すべての労働者が安心して働ける社会の実現に向けて、労働法制の真の改正をこれからも求め続けていく。

 右、決議する。

2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会