「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されることにより、正規・非正規労働者間の不合理な待遇格差を解消する「同一労働同一賃金」が大企業は今年4月から、中小企業は来年4月から義務づけられる。これまで放送業界では、放送局が関連会社や制作プロダクションをつくり放送局正規雇用労働者(局正社員)より低い賃金体系の労働者を作った。また派遣法をはじめ労働法を人件費削減に悪用し、派遣契約・有期雇用契約の労働者を増やし、局正社員との待遇に格差を生み続けた。局正社員と同じ仕事をしながら、賃金・労働条件に著しい格差があるという事例もある。民放労連に寄せられる労働相談の多くが、そうした立場の弱い労働者の切実な声だった。法律が施行される今こそ、我々は格差解消に向けた取り組みを業界全体で進めなければならない。
昨年の春闘でも、多くの単組が格差解消につながる回答を引き出した。KBC労組では福利厚生倶楽部の利用を契約社員にも拡大。嘱託雇用者及び契約社員に、社員同様、リフレッシュ休暇制度を適用する回答を引き出した。日本海テレビ労組では社外スタッフの待遇改善の一つとして、出張時の運転について派遣社員にも出張手当1400円、運転手当1200円の回答、琉球放送労組では契約社員の慶弔休暇が認められたほか、よみうりテレビサービス支部は無期雇用契約社員の年収上限撤廃、有期・パートから無期雇用への登用制度の創設、有期雇用者への夏季一時金支給をそれぞれ勝ち取った。更に格差是正の取り組みを進めるために、企業や雇用の垣根を越えてすべての労働者が手を取り合う必要がある。構内・職場にいるすべての労働者の声に耳を傾け、そこに存在する格差を認識し、その問題を解決していくことで、労働組合の求心力を高めていこう。
今回の臨時大会で、我々はバップ労働組合の仲間を民放労連に迎え入れた。同業他社と比べて低い賃金・労働条件に将来展望が見通せず、労働者が辞め続ける状況に危機感を抱き労働組合を結成した。バップ労組を民放労連全体で支援し、共に闘っていこう。
放送業界が健全に発展していくためには、放送の将来を担う人材の確保が必要だ。無論、残業代がなくては生活が困窮するような低賃金、睡眠や休みさえまともに取れない長時間労働が当たり前の産業に人は集まらない。それだけでなく、自身のキャリアアップが望めないような職場に若手は魅力を感じない。
今こそ、「同一労働同一賃金」を追い風にして、放送産業に働くすべての労働者が安全に、そして安心して働くことができる賃金と労働条件の実現を目指していこう。そのために、労働組合の役割と重要性についての認識を我々自身も深め、大きな団結をつくりだそう。将来の放送業が魅力ある業界であり続けるために。
右、決議する。
2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会