「戦争放棄・平和主義」「基本的人権の尊重」「国民主権」を原則とし、言論・表現・結社の自由と労働三権と平和的生存権を定めた日本国憲法を労連組合活動に活用していくという方針を広島での第129回定期大会で確認した。
今年の5月3日、「自衛隊の存在を憲法上明文化し、違憲論争に終止符を打つのは政治の役割であり、私たち世代の責任だ」「2020年に新しい憲法が施行される年にしたい。今もその気持ちに変わりはありません」など安倍晋三首相は改憲への強い意気込みを露わにするが、2012年に発表された自民党「憲法改正草案」が、権力を規制するという立憲主義の本義から外れ、逆に国民を統制し言論・表現の自由、結社の自由など主権者である国民の権利に制限を加えるものであるかぎり、看過することはできない。
朝日新聞の世論調査でも「改憲機運が高まっているか」の問いに、72%が「高まっていない」と回答し、憲法九条に関しても「変えないほうがよい」が62%と、「変えるほうがよい」の28%を大きく上回った。また「安倍首相に望む政策」という設問には38%が「社会保障」と答えたのに対し、「改憲」はわずかに3%しかなく、安倍首相と有権者の意識におおきなずれが認められ、改憲が現在の日本にとっての喫緊の課題とはいえない。
自らの首相としての任期中に改憲を実現し歴史に名を刻まれたいとでも考えているのか。期日を切って議論を尽くすことなく、国民が強く望んでいるわけでもない改憲を強引に進めることは、世論無視、民主主義無視の「壊憲」にほかならない。
私たち民放労連は、立憲主義の否定、民主主義の形骸化、そして平和を脅かす改憲には強く反対する。個人が尊重され、言論・表現の自由など個人の権利がこれからも尊重される社会の継続とこれからも民放労連運動に憲法を活かしていくことを、ここに宣言する。
2019年7月28日
日本民間放送労働組合連合会 第129回定期大会