民放労連第129回定期大会「展望が持てる放送の未来のために すべての放送労働者に団結を呼びかける決議 」(2019年7月28日)

 民間放送が誕生して六八年。日本の経済成長に歩をあわせて、民放産業は、政治・経済・社会・文化に影響を及ぼすマスメディアへと発展してきた。
しかし、その成長の影には、放送局正社員とそれ以外の構内労働者の賃金・労働条件の格差、雇用差別、放送局とプロダクション・関連会社との非対称な関係といった「負の遺産」を生じさせた。
 「賃金が低くても放送の仕事をしたいという若者はいくらでもいる」と20年ほど前に民放連研究所はある報告書で言い放った。総額人件費の削減にあたっては、放送局正社員の一人当たりの人件費を削減するとモラールハザードを引き起こすので、人員を削減すべきとも民放経営者に促し、必要な人員はアウトソーシングで補うべきと主張した。
 民放の社会における影響力が非常に強かった時、民放経営者が生み出した「負の遺産」は影に隠れて可視化されることは少なかったが、その「負の遺産」が、いまや民放=「ブラック産業」という呼称で若者たちから忌避されている。

 私たち民放労連は、放送産業に横たわる「負の遺産」の解消と1万人の民放労連の早期実現をめざした「構内労働者組織化プロジェクト」に6年間にわたって取り組み、「企業内最低賃金協定」の締結をはじめ、構内スタッフへの慰労金やクオカードの支給を経営者に実施させるなどの待遇改善を実現してきた。この取り組みが今年度も構内労働者の組織化につながっている。朝日放送労組では、子会社アイネックス社員の労働条件に関する相談から、18名の朝日放送労組アイネックス支部が結成された。京都放送労組は職場の組合員が日常的に声掛け運動を展開し、目標人数を上回る労働者が組合に加わった。

 来年4月から「パートタイム・有期雇用労働法」が施行される。同一企業・団体における正規労働者と、有期雇用・パートタイム・派遣契約労働者との不合理な待遇格差が禁止される。労働組合の存在と役割を構内スタッフに認識してもらう絶好の機会の到来である。
 今すぐ、構内労働者の雇用形態別の労働条件を把握し、不合理な格差が確認された場合には要求化して是正させていこう。再び、若者たちにとって魅力ある産業になるための起点として労働組合が動き出そう。
  旧態依然とした民放経営者を覚醒させ「負の遺産」を解消するためには私たち民放労連の一層の団結が不可欠だ。企業別に組織されている日本の労働組合の弱点を克服し、未組織労働者の声なき声に耳を傾け、要求を実現させていく。その成果を組織化に結び付け、さらなる要求実現能力を高める。一〇年後の未来も視聴者から信頼される放送を続け、私たちの職場と生活が安定したものであるために、放送で働くすべての労働者の結集を呼びかけていこう。

右、決議する。

 2019年7月28日
日本民間放送労働組合連合会 第129回定期大会