民放労連第128回臨時大会「沖縄県民の民意を無視した名護市辺野古新基地建設に向けた土砂投入作業に断固抗議する決議」(2019年1月27日)

 2018年12月14日午前、日差しを受けて青く輝く沖縄県名護市辺野古の海に、1台のトラックが積んでいた土砂を降ろした。民意を無視し、生物多様性に富んだ海の埋め立てが始まったこの日は、沖縄の記憶に刻まれることになる。埋め立てが始まった米軍キャンプシュワブゲート前で抗議行動を続ける市民は、民意を踏みにじる安倍政権の姿勢に強い憤りをもって抗議した。
 
 昨年9月30日の沖縄県知事選挙。急逝した翁長雄志前知事の遺志を引き継ぎ、普天間基地の名護市辺野古への移設反対を表明して過去最多の得票数で、政権が支援する相手候補を破った玉城デニー知事が誕生した。この知事選で県民は明確に「辺野古移設にNO」を突きつけた。県民はこれまでも全県的な選挙で再三、新基地建設反対の民意を示してきた。しかし政府は知事選後、県が撤回した埋め立て承認の効力停止を申し立てて工事を再開。玉城知事は安倍晋三首相との会談で「民意は圧倒的に反対だ」として、改めて新基地建設を断念するよう求めた。だが政府は一顧だにせず、土砂投入に踏み切った。
 
 埋め立てが始まった護岸で囲まれた区域では作業が始まり、真っ青な辺野古ブルーの海が土砂で茶色に染まった。政府は埋め立て作業を加速することで県民にあきらめムードを植え付け、基地建設の既成事実化を積み上げるのが狙いだ。事あるたびに「沖縄に寄り添う」と発言する安倍政権。だが実のところ基地から派生する爆音や事件事故に悩まされ続ける沖縄の声を聴こうとする姿勢は微塵もない。この現状に県民の怒りは沸点に達している。
 
 その一方で、ここに来て朗報もある。今月23日、全国の憲法学者131人が、政府による辺野古新基地建設の強行は憲法違反であり、工事の中止を求める声明を発表した。全国に約600人いるといわれる憲法学者へも賛同の輪を広げるという。

 また、工事中止を求める米ホワイトハウスへの署名は全世界から約21万筆が集まっている。24日までに呼びかけの発起人である請願者宛に、ホワイトハウスから「私たちはあなたのメッセージを慎重に検討しています」と回答があった。憲法学者の声明もホワイトハウスからの請願に対する回答も極めて異例のことだ。来月24日には、紆余曲折あった辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票も全県で実施されることが決まった。

 辺野古埋め立て問題は沖縄だけの問題ではない。憲法9条と日米安保の問題でもあり、地方自治法と人権、民主主義を問うことからすると、国民すべての問題である。
 私たちは、辺野古新基地建設に向けた埋め立てに対する沖縄県民の民意が示されるまで、政府は辺野古への海に土砂投入作業を即時中止するよう強く求める。

 右、決議する。

2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会