「内平らかに外成る」国も人も内部が平和で穏やかであれば、それは外に形となって現れる、との思いが込められた「平成」。放送産業が「ギョーカイ」ともてはやされ、バブル景気とともに「24時間働けますか?」というコピーがメディアを賑わした平成初期、そして「働き方改革」「放送産業からの若者離れ」が叫ばれる現状に至るまで、私たちを取り巻く環境はこの30年間で大きく変貌した。そんな「平成」が終焉を迎える冬、私たちは放送産業における新たな時代を切り拓くためにここ両国に集まった。
放送の将来を担うべき人材の確保が難しくなっている現実を直視しよう。「賃金が低く、長時間労働が当たり前でも放送を目指す若者が多い」という過去の幻想に、労使ともにすがっていてはいけない。
大会では、4月からの労働法制変更に伴う時間外の上限規制と有休の年5日取得義務への懸念と取り組みについて多くの組合から発言が相次いだ。すべての労働者が安心して働くことが出来る賃金と労働条件を経営者に求めていこう。
昨年4月、当時の財務省事務次官による放送記者へのセクハラが発覚した。これは氷山の一角であり、メディア内部に多くのハラスメントが存在している。これまでの私たちの「常識」を疑い、あらゆるハラスメントをなくし、誰もが安心して働ける職場環境を確立することが急務だ。
昨年6月、残業代ゼロ制度とも呼ばれる「高度プロフェッショナル制度」が盛り込まれた「働き方改革関連法案」が成立した。裁量労働制の拡大について政府は新たな法改正に向けた歩みを着々と進めている。また「解雇の金銭解決制度」は、従来の解雇規制を根底から覆し、不当解雇が連発される恐れがあり、法制化には断固として反対する。
「2020年新憲法施行」をめざす安倍首相は、年頭記者会見で「具体的な改正案を提示する」と改めて憲法「改正」への強い意気込みを示した。そこには、権力を縛る立憲主義の否定が示唆されている。そんな改憲を許すことが出来ない。国家のために個人の権利や表現の自由が制限され、多数派の一存で国の根幹が変えられるようなことで「内平らか」と言えない。
政府・自民党は相変わらず放送への介入を狙っている。自民党は昨年12月、「放送法の改正に関する小委員会第二提言」を打ち出した。ローカル放送局の経営効率化を狙ったものと言えそうだが、地域メディアとしてのローカル放送局はむしろ必要性が高まっている。今こそ権力からの不当な圧力をはねのけて、放送の価値を守り抜こう。
辺野古埋め立て問題は沖縄だけの問題ではない。直視したくないものから目をそらし、他人事になっているのではないだろうか。取材にあたった琉球放送労組からは生の声が寄せられた。私たちは、辺野古新基地建設に向けた埋め立てに対する沖縄県民の民意が示されるまで。政府は辺野古への海に土砂投入作業を即時中止するよう強く求める。
国民が必要とする放送を守るため、社会的な使命を果たすため、今こそ労働組合の再生が求められている。企業の利益を優先する「経済の論理」「効率の論理」では、放送の未来を築いていくことは出来ない。未来を担っていく労働者のために「人間の論理」を取り戻そう。すべての放送労働者の団結を創り出し「賃上げと労働環境改善で放送の未来をつくろう」!
2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会