投稿者「minpororen」のアーカイブ

メディアで働く女性のための緊急電話相談結果【プレスリリース】

報道機関各位
2018年7月1日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メディアで働く女性のための緊急セクハラ110番を実施
~女性弁護士らによる電話相談~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

メディア業界の労働組合でつくる日本マスコミ文化情報労組会議(略称:MIC、議長:小林基秀新聞労連中央執行委員長、*参照)は、女性弁護士グループ「日本労働弁護団・女性労働プロジェクトチーム(PT)」(代表 長谷川悠美弁護士)の協力のもと、メディアで働く女性のための緊急セクハラ110番を実施しました。相談は、女性弁護士10人、臨床心理士1人、MIC加盟の新聞労連・出版労連・民放労連・全印総連(印刷)の各単一産業別組合の担当者6人が応じました。
その結果、メディアで働く女性労働者から、職場でのセクハラ被害や事業者がセクハラ被害に対応しない実態などについて相談がありました。電話相談の概要は次の通りです。

◆実施日:2018年7月1日(日)午前10時~午後3時に実施
◆実施場所:新聞労連書記局(文京区本郷2-17-17井門本郷ビル6階)
◆対象者:メディア・マスコミで働く女性
◆目的:①全国のメディア・マスコミ業界で働く女性のセクハラ被害の実態を把握
②個別被害の解決につなげる

◆相談事例
事例① 新聞・通信社 女性
記者同士が集まる酒席で、同業他社の男性記者から身体接触があったり、性的冗談やからかいなど
のセクハラ行為を受けたりした。同業記者男性は相談者を含めて複数の女性記者に対して、頻繁に
同様のセクハラ行為を繰り返している。加害男性記者がセクハラをする相手は年齢が若い女性記者
ばかり。上司に相談したいが、面倒くさがられて仕事が任されなくなるのではないかという懸念や
加害男性記者からの報復の懸念があり、会社に相談できない。「自分がなめられているから被害に
遭うのかもしれない」と自分の能力の低さを責めている。同業他社からのセクハラについて対処方
法を教えて欲しい。また社内でも結婚や性的指向について、上司から言われ不快な思いをしている。

事例② 出版 女性(非正規)
職場の雰囲気がおかしいと思っていたところ、上司から仕事を辞めることを勧奨された。職場内で、
職場の男性との性的関係やその内容についてばらされ、自分の知らないところで噂になっていたこ
とを辞める時に知った。ショックを受けた。悔しい。

事例③ 放送 女性
職場の男性から一方的に好意を告げる膨大な数のメールが送られるなどのセクハラを繰り返し受け
た上に、性的関係を強要された。会社に相談したが、対応してくれなかった。その後、精神的ダメ
ージを受けたことで、会社に行けず病気になって休職に追い込まれ、辞めざるを得なくなった。
会社には女性蔑視の風土を変えてほしい。自分と同じようなことを繰り返さないでほしいので、
こういう事例があることを社会に知ってもらいたい。

事例④ 放送 女性
同僚たちとの酒席で、参加者から性的な辱めを受け、拒否したところ、さらに同僚男性から胸を触
られ、必死でその場から逃げた。後日、加害男性に謝罪を求めたところ、「酒席の場のこと」とし
て取り合ってもらえなかった。さらに、加害男性本人が、胸を触ったことを吹聴した。それにより
行為が周知され、加害男性は上司から注意を受けたようだが、相談者自身も「冗談が通じない人間」
として取り扱われ、不利益を被った。メディア業界ではセクハラが当たり前のこととしてまかり通
っていることを世の中に知ってほしい。

*新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、広告労協、映演労連、映演共闘、音楽ユニオン、電産労
の九つの産業別労働組合がつくる団体。

『宣言~あらゆるハラスメントを許さない・見過ごさない・隠蔽しない~』

『宣言~あらゆるハラスメントを許さない・見過ごさない・隠蔽しない~』

いま、女性たちが声をあげ始めています。

その声は、女性だから、弱い立場だからと不当に貶められてきた自分自身への、また仲間たちへの卑劣な「ハラスメント」に対する怒り。
ソーシャルメディアからはじまった小さな声は、「#Me Too」運動として、瞬く間に、全世界に広がりを見せています。

その声は、職場で、学校で、地域で、家庭においても、時に無視され、周囲の人間関係を忖度し、「空気を読め」と圧力をかけられ、言いたくても言えなかった心の叫びです。

この春、私たち民間放送局に働く者にとって看過できないハラスメント事案が、明るみになりました。
当時の財務省事務次官による女性記者に対するセクシャル・ハラスメントです。
さらに、麻生太郎財務大臣は、このハラスメントを認めようともしないどころか、女性の人権を蔑むような、新たなハラスメント発言を口にしました。

日頃、男女平等や人権の大切さを訴え、「ハラスメント」被害に苦しむ女性や社会的弱者の声なき声に耳を傾け、彼らたちの心の叫びを代弁してきたはずの私たちの、まさに足元で引き起こされたこの問題に、放送人として真正面から向き合わなければなりません。

たとえ相手が、取材対象であっても、スポンサーであっても、自らへのハラスメントは、すべての女性たち、すべての社会的弱者たちへのハラスメントであると受け止め、自らが先頭に立って、ハラスメントに立ち向かうこと。それが私たち公共の放送に携わる者にとっての矜持だと考えます。その勇気を後ろから支えてくれるのが労働組合です。

民放労連は、4月18日に「財務次官セクハラ疑惑と政府の対応に強く抗議する」声明を発表、同月25日には民放連へ「セクハラ問題で緊急の申し入れ」をし、さらに5月17日には、全日本テレビ番組製作者連盟へも「ハラスメント根絶に向けた要請書」を提出しました。

折りしも、国際労働機関(ILO)は今月8日、職場での暴力や性的な嫌がらせなどのハラスメントを防止する条約の制定を求める報告書を採択しました。
制定されれば、ハラスメントに対する法的規制としては、初の国際基準となります。

ここ熊本で開催された、民放労連女性協議会「全国女性のつどい」に参加した私たちは、ILOでのハラスメント防止条約が早急に採択されることを強く求めるとともに、私たちの身近にある、あらゆるハラスメントを許さない・見過ごさない・隠蔽しないことを、宣言します。

2018年6月23日

民放労連女性協議会 『民放労連全国女性のつどいIN熊本』参加者一同

「第55回 民放労連全国女性のつどい in 熊本」 アピール

「第55回 民放労連全国女性のつどい in 熊本」 アピール

「復興に向かう熊本の姿を見てほしい。私たちが抱える職場の問題を共有し、明日からの生きる糧としてもらえれば」。野口昌子実行委員長の開会挨拶で口火を切った、第五十五回民放労連全国女性のつどい。今年は、2年前震災の被害に遭った熊本市内で開催され、子ども5名を含む総勢113名が参加しました。

スローガンは「幸せになるモン!火の国で燃やせ 働く女性の底力~1人のためにできること」。

長時間労働に起因する過労死や自殺が社会問題化する中、政府が最重要法案と位置づけている「働き方改革法案」は、与党の“数の力”で、先月衆議院を通過しました。労働者保護のための「働き方」改革ではなく、企業主体の「働かせ方」改革に過ぎない「高度プロフェッショナル制度」。法案作成の根拠となるはずの厚労省の調査には不適切なデータ処理が散見され、充分な審議が尽くされたとはとても言えません。
また、まさに私たちの足元で起きたと言える、当時の財務省次官による女性記者へのセクシャル・ハラスメントは、その後の麻生太郎財務大臣による女性の人権軽視ともとれる発言も含め、放送人として、決して看過できるものではありません。

全体会では、齋田公生書記長が「未来について学べる勉強会。将来に向けて、少しでも役に立つ形で持ち帰ってほしい」と挨拶。RBCビジョン労組の照喜納萌子さんは、女性契約社員の雇い止めを、組合の団結力で会社に撤回させた成果について報告しました。

基調講演のテーマは、「赤ちゃんポストはそれでも必要です~子どもは未来の宝~」。元慈恵病院・看護部長の田尻由貴子さんが、命の教育の大切さを訴えました。設置から11年で137人の子どもが預けられた赤ちゃんポスト。年々、その数が減る一方で、子どもの遺棄や虐待が増えている現状からは、若年妊娠や貧困など、様々な社会的問題が浮き彫りとなっています。
「相手を責めずに、耳を傾け寄り添う」という田尻さんの信念は、報道に携わる私たちにとっても、胸に響く言葉と言えるでしょう。

講演後には、2つの震災を体験したママ防災士のワークショップや、7男3女を持つお母さんの子育て術、専門医による漢方講座、ファイナンシャルプランナーが指南するライフプラン、私らしい働き方改革、そしてハラスメントについてなど、6つの分科会に分かれ、活発な議論が交わされました。

明日2日目は、熊本地震被災地をめぐる2つのツアーが予定されています。

復興に向けて力強く歩みを進めるここ火の国・熊本で、あらゆる差別やハラスメントを許さない底力を燃やし、一人のために何ができるかを、参加した皆さんと考え分かち合うことを誓い、「女性のつどい」のアピールとします。

2018年6月23日 第55回 民放労連全国女性のつどい in 熊本