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民放労連第130回臨時大会「朝日放送に解雇争議を解決するよう求める決議」(2020年1月26日)
この争議は、団交も開かれず理由も告げられず一方的に解雇されて、間もなく2年を迎えようとしている。大阪府労働委員会は近く「平成30年(不)第24号朝日放送グループホールディングス/朝日放送ラジオ事件」の命令を交付する。「5人の使用者は朝日放送ではない」と審問で証人を出さなかった朝日放送に有利な命令が下されるとは思えない。
かたや組合側は5人中4人が証人出廷し、ラジオニュース班において社員以上の働きをしてきたことを各人が証言した。さらに組合側証人として当時のラジオニュース担当部長が証言。5人はいずれも朝日放送が選考して就労を依頼したこと、朝日放送の意向により組合員らが自ら会社を設立し、特定派遣契約を締結するに至った経緯も証言した。これに対する朝日放送の反対尋問は、傍聴席から失笑すら起きるほどお粗末な内容だった。
その後も朝日放送は、早期解決を呼びかける団体署名の受け取りを2度にわたって拒むという暴挙に出た。都合の悪い意見には耳を貸さないとは、報道機関にあるまじき行為ではないか。
われわれは組合側勝利の命令を信じて疑わない。朝日放送はこれ以上無意味な抵抗をせず、組合と誠実に向き合うべきである。そして、素直に己の過ちを認め、潔く5人を職場に戻すべきだ。それが社会的責任の大きい報道機関としての、せめてもの良心というものである。
きょう第130回臨時大会に結集したわれわれは、朝日放送に対して、速やかに団交開催に応じ、争議の早期解決に邁進するよう強く求める。
右、決議する。
2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会
朝日放送グループホールディングス 代表取締役社長 沖中進 殿
朝日放送ラジオ 代表取締役社長 岩田潤 殿
民放労連第130回臨時大会「不平等な地位協定の抜本的な見直しと辺野古新基地建設の撤回を求める決議」(2020年1月26日)
2019年10月31日未明、沖縄のシンボルともいえる首里城の正殿と北殿、南殿が焼失するという事態に、県民に衝撃と悲しみが広がった。一日も早い再建が待たれる一方で、米国の施政権下から本土に復帰して48年を迎える今年、これまで住民らは「基地なき沖縄」を求めたが、いまだに国土面積の約0.6%の沖縄県に在日米軍専用施設の約7割が集中している現実がある。
令和の時代となっても、米軍基地負担は重いままだ。沖縄県名護市安部沿岸で2016年12月、米海兵隊のオスプレイが墜落し大破した事故で、昨年12月、那覇地検は航空危険行為処罰法違反の疑いで書類送検された当時の機長を不起訴処分とした。16年前の沖縄国際大学ヘリ墜落事故でも、裁判権がないとして米軍整備士4人が不起訴処分となっている。公務中の罪は米軍に一次裁判権があるとする日米地位協定の前に、日本の捜査権は全く無力だということが今回も証明された。
これら事案の根本にあるのは、不平等な日米地位協定の存在である。地位協定を巡っては、昨年7月、米軍機が基地の外で事故を起こした際の方針や対応について定めたガイドラインを改定。事故が起きた際、日米の責任者が「迅速かつ早期」に制限区域内に立ち入りが行われると明記。また、米軍から日本に対し、事故によって流出する有害物質の情報を速やかに提供することなども加えられた。今回の改定で日本側の権限は強化されたようにみえるが、立ち入りには日米の合意が必要という点は変わらない。重大事故が度々不起訴とされる現実こそが、地位協定の根本的な欠陥である。
昨年12月には金武町伊芸区の民間地に米軍の照明弾が3個落下。米軍は訓練中に使用した照明弾であることを認め、使用を一時的に中断していると説明。だが照明弾が落下した訓練内容や経緯は明らかにしていない。原因が定かでない中、射撃訓練は続行され、沖縄では空から何が落ちてくるかわからないのが現状だ。
新しい年を迎えたが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に向け、政府が埋め立て予定区域への土砂投入を開始して1年余りが経過した。埋め立て工事が進められている現場では、美しい辺野古の海が日に日に失われている。建設予定地では軟弱な地盤が確認されて、政府は今年度中に沖縄県に設計変更を申請したい考えだが、県は変更後の計画を承認しない構えで、対立は激しさを増す見通しだ。昨年2月の県民投票で示された「反対」の民意を尊重せず埋め立てを進め、隠してきた軟弱地盤や高さ制限の問題などが明るみになってきた今、私たちマスメディアが「沖縄でいま何が起きているか」を国内外に発信し、現地の民意を踏みにじり、問題が発覚した工事をすぐに中止し建設の見直し・撤回を求めていく。
右、決議する。
2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会
民放労連第130回臨時大会「アベ改憲にNO! 検閲ドミノもNO!」(2020年1月26日)
安倍首相は年頭記者会見で、「先の参議院選挙や最近の世論調査を見ても、国民の皆様の声は、憲法改正の議論を前に進めよ、ということだと思います。憲法改正を私自身の手で成し遂げていくという考えには全く揺らぎはありません」と述べた。
しかし、事実は「先の参院選」で自民党は議席を9減らし、参議院の「改憲勢力」は発議に必要な3分の2を割った。また、共同通信が参院選直後に行った世論調査では、安倍政権下での改憲に対し「反対」は56.0%で「賛成」は32.4%、12月に行った「最近の世論調査」でも、「反対」は54.4%に上り、「賛成」の31.7%を大きく上回っている。「前に進めよ」という国民の声はどこにも読み取れない。安倍首相は曲解や歪曲を改め、国民の声に真摯に向き合い、拙速な改憲論議をやめるべきではないか。
その改憲の焦点となっている憲法9条に関連する動きとして、政府は昨年末、中東への自衛隊派遣を閣議決定した。調査・研究を目的としているが、国会での議決なしの派遣は、文民統制の欠如による現地での拡大解釈による運用を可能にし、突発的な戦闘状態に巻き込まれるおそれも否定できない。
安倍首相は年頭会見で、中東情勢について「この地域の緊張緩和と情勢の安定化のために、これからも日本ならではの外交を粘り強く展開します」と強調した。首相の言葉が本意ならば、日本政府が今なすべきことは平和のための外交交渉であり、自衛隊派遣ではない。安倍首相は戦争に巻き込まれるおそれのある自衛隊中東派遣を直ちに中止すべきである。
昨年はいったん認められた補助金や助成金、公認などが取り消される動きが相次いだ。国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」で、文化庁が芸術祭への約7800万円の補助金不交付を発表した。映画「宮本から君へ」では、文化庁所管の日本芸術文化振興会が助成金1000万円交付の内定を取り消した。その他、オーストリア友好150周年のウィーンでの芸術祭では大使館公認が取り消されたり、KAWASAKIしんゆり映画祭では映画「主戦場」がいったん上映見送りとなった。同調圧力と忖度を通り越した「検閲ドミノ」が横行している。また、行政側が「公益」というあいまいな基準を口実に表現の自由を制限してくる。民主主義の根幹をなす「表現の自由」を守るため、私たち民放労連は率先して声を上げ、このような動きを押し返していくことをここに宣言する。
右、決議する
2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会
民放労連第130回臨時大会「誰もが安心して働けるハラスメントのない職場をめざす決議」(2020年1月26日)
「きちんと調査すればわかることなのに、なぜ、ハラスメントが起きたことを会社は認めないのか」「ハラスメントの加害者がいるから出社できないのではなく、ハラスメントが職場に存在するから出社できない」ハラスメントによって適応障害や過呼吸症候群、うつ病などを発症し休職せざるを得なくなった、復職後も嫌がらせが続き、激化しているなど、いのちに関わる相談が民放労連や放送スタッフユニオンに寄せられている。
昨年、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が行った職域横断セクハラアンケートでは、不適切な対応が二次被害を生み、被害を拡大させていることが明らかになった。会社や組織の相談窓口に相談した回答者の78.8%が不適切な対応をされ、事情を話したが調査もされず放置されたり、被害者側の過失を問われたり、いわれのない噂をたてられたりしている。
イリノイ州立大学等の心理学研究によると、セクハラをする人の特徴は、共感の欠如、伝統的な性別の役割に対する信念、支配や権威主義への傾向があるが、どこでも必ず行うわけではなく、免責状態のある場にいるからセクハラをするということだ。わたしたちの職場ではどうだろうか。建前では、「ハラスメントは人権侵害、あってはならないこと」だが、本音では、「誰もがやっている、いちいち言われたら口もきけない、息苦しい」と思ってはいないだろうか。
同質性の高い組織では、ハラスメントが起きやすいリスクがある。職場におけるハラスメントは、個人の問題だけでなく、それを許す風土のある組織の病だからだと、研究者は分析している。
民放労連女性協議会の調査で、在京民放テレビ局の報道や情報番組などの制作現場の最高責任者に女性はゼロという実態が明らかになっている。それをあたり前のこととして捉えていないだろうか。女性比率が低いことによって、番組内容や表現にも影響し、働き方や職場の雰囲気にも大いに関わると女性協は分析している。生活者目線が欠如したコンテンツによって、視聴者や就活生など若い人のテレビ離れが起きているのではないだろうか。
放送業界のように同質性の高い組織が、多様性があり、誰もが安心して働ける職場になるためには、ジェンダーバランスを改善し、育児や介護などの事情にとらわれない労働時間による差別のない働き方に変えていく必要がある。
6月からパワーハラスメント対策が初めて義務化される。セクハラやマタハラ等の防止対策も強化され、国・事業主・労働者の責務が明確になる。形式的に相談窓口を設置するのではなく、相談者に寄り添う対応、事業主がハラスメント根絶宣言をする、就活生やフリーランス、求職者も保護の対象とする、法律でハラスメントそのものを禁止するなど、昨年成立した国際労働機関(ILO)のハラスメント禁止条約の批准ができる社会になることが求められている。
「政策を作るのは政府、風土を作るのはメディア」と言われる。メディアの業界で働く労働者ひとりひとりは弱い存在だ。嫌ならやめればいいという呪いの言葉に屈することなく、勇気を出して声をあげ連帯しよう。すべての職場からハラスメントをなくし、安心して働ける放送業界と社会を築いていこう。
2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会
民放労連第130回臨時大会「安倍政権のさらなる労働法制改悪に反対する決議」(2020年1月26日)
安倍政権は、「一億総活躍プラン」を掲げて「働き方改革」を打ち出し、これまでに労働者派遣法と労働契約法が経営者目線で改悪され、有期雇用労働者に大きな雇用・生活不安を与えた。そして昨年の「改正」労働基準法では、「労働時間上限規制」と「有給休暇5日取得義務」が罰則付きで施行されたが、同時に残業代ゼロ制度「高度プロフェッショナル制度」も施行された。この「高プロ制度」は、労働時間の概念を取り払い、一定の要件を満たせば労働基準法の枠外に置かれ、長時間労働が助長されることとなる。そして今国会では「安倍働き方改革」の次の重要法案が準備されている。それが「解雇の金銭解決制度」と、一昨年の国会で法案から削除された「裁量労働制の適用範囲拡大」である。
「解雇の金銭解決制度」では、たとえ裁判などで「解雇無効」の判決が出たとしても解雇を撤回する必要はなく、「金銭的補償で労働契約を解消する」ことができることになる。労働契約法第16条における解雇権の濫用が争点となった「日本IBMロックアウト解雇事件」は「解雇自由」につながる事件であり、判決では会社の違法性が認められ、裁判に勝利した組合員は和解して職場復帰を果たした。しかし、「解雇の金銭解決制度」が認められれば、正社員を含むすべての労働者が解雇対象者となり、たとえ裁判で労働者が勝利したとしても、本来の目的である「職場復帰」が閉ざされるおそれがあるばかりでなく、経営者は一定の金額を支払えば「違法解雇する権利」を買うことが出来る制度となり、乱暴な解雇が増えると言っても過言ではない。日本経団連も従来の日本型雇用制度=終身雇用制の見直しを表明しており、雇用と生活を破壊するような法律には断固として反対していく必要がある。
さらに、政府が法案作成の検討資料として用意したデータが不適切だったために法案から削除された「裁量労働制の適用範囲拡大」は、日本経団連をはじめ企業経営者が導入を強く望んでいる労働基準法の「改正」であり、今後も法案が通るまで繰り返し提案されることは間違いない。安倍政権が法制化を目指す「解雇の金銭解決制度」とともに反対していく必要がある。
ここにあらためて弱い立場に置かれている労働者を守るための労働法制改悪につながる「安倍働き方改革」に強く反対の意思を掲げ、すべての労働者が安心して働ける社会の実現に向けて、労働法制の真の改正をこれからも求め続けていく。
右、決議する。
2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会
民放労連第130回臨時大会「民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議」(2020年1月26日)
「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されることにより、正規・非正規労働者間の不合理な待遇格差を解消する「同一労働同一賃金」が大企業は今年4月から、中小企業は来年4月から義務づけられる。これまで放送業界では、放送局が関連会社や制作プロダクションをつくり放送局正規雇用労働者(局正社員)より低い賃金体系の労働者を作った。また派遣法をはじめ労働法を人件費削減に悪用し、派遣契約・有期雇用契約の労働者を増やし、局正社員との待遇に格差を生み続けた。局正社員と同じ仕事をしながら、賃金・労働条件に著しい格差があるという事例もある。民放労連に寄せられる労働相談の多くが、そうした立場の弱い労働者の切実な声だった。法律が施行される今こそ、我々は格差解消に向けた取り組みを業界全体で進めなければならない。
昨年の春闘でも、多くの単組が格差解消につながる回答を引き出した。KBC労組では福利厚生倶楽部の利用を契約社員にも拡大。嘱託雇用者及び契約社員に、社員同様、リフレッシュ休暇制度を適用する回答を引き出した。日本海テレビ労組では社外スタッフの待遇改善の一つとして、出張時の運転について派遣社員にも出張手当1400円、運転手当1200円の回答、琉球放送労組では契約社員の慶弔休暇が認められたほか、よみうりテレビサービス支部は無期雇用契約社員の年収上限撤廃、有期・パートから無期雇用への登用制度の創設、有期雇用者への夏季一時金支給をそれぞれ勝ち取った。更に格差是正の取り組みを進めるために、企業や雇用の垣根を越えてすべての労働者が手を取り合う必要がある。構内・職場にいるすべての労働者の声に耳を傾け、そこに存在する格差を認識し、その問題を解決していくことで、労働組合の求心力を高めていこう。
今回の臨時大会で、我々はバップ労働組合の仲間を民放労連に迎え入れた。同業他社と比べて低い賃金・労働条件に将来展望が見通せず、労働者が辞め続ける状況に危機感を抱き労働組合を結成した。バップ労組を民放労連全体で支援し、共に闘っていこう。
放送業界が健全に発展していくためには、放送の将来を担う人材の確保が必要だ。無論、残業代がなくては生活が困窮するような低賃金、睡眠や休みさえまともに取れない長時間労働が当たり前の産業に人は集まらない。それだけでなく、自身のキャリアアップが望めないような職場に若手は魅力を感じない。
今こそ、「同一労働同一賃金」を追い風にして、放送産業に働くすべての労働者が安全に、そして安心して働くことができる賃金と労働条件の実現を目指していこう。そのために、労働組合の役割と重要性についての認識を我々自身も深め、大きな団結をつくりだそう。将来の放送業が魅力ある業界であり続けるために。
右、決議する。
2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会
民放労連第130回臨時大会 大会アピール(2020年1月26日)
東京オリンピックまで半年を切った。先週末には、全国114のテレビ局が一体となり、特別番組が放送された。大きな期待とともに誘致された東京五輪。運営・準備において懸念される点はあれど、東京五輪が日本に多くの感動や元気をもたらしてくれることを強く望む。
その一方でオリンピックに向けてのお祭りムードが、今の日本が取り組むべき問題を先送りにしていることの「言い訳」になっていないだろうか。皆が一体となって五輪を盛り上げることは素晴らしい。しかし「今やるべきこと」は何なのかをしっかりと見据え、その課題のために一体になろう。そんな思いを胸に我々はここ両国に集まった。
年末闘争の報告では、経営陣による業績不振を理由とした厳しい回答と不況宣伝に対峙していくことの重要性を複数組合が訴えた。テレビ北海道労組は会社の不誠実で不当な対応に立ち向かうために労働委員会に相談することを決めた。長崎放送労組は会社からの誠意なき回答に対して大規模ストでの組合員の団結を示した。また、朝日放送ラジオ・スタッフユニオンからは、解雇争議の経過報告がなされ、会社設立38年になる日本テレビグループのバップでは危機感を抱く仲間たちが組合を立ち上げ、我々の仲間に加わった。
人が集まり、その人を「優れた人材」に育て上げられる職場環境をつくりだそう。そのためには我々労働者が雇用形態の違いを乗り越えて団結することが必要である。昨年、施行された「改正」労基法では時間外上限規制と有給休暇の取得義務化が実施された。我々の労働環境は本当に改善されているのか。「働き方」は改革されているのか。法令を守るべき管理監督者、経営者への忖度はいらない。真の「改革」を進めよう。
「同一労働同一賃金」が大企業ではこの4月から、そして中小企業でも来年4月から義務付けられる。法律が施行される今こそ、格差を解消し、安心して働くことのできる環境をつくるため、そして将来の放送業が魅力ある業界であり続けるために、我々は一層団結していこう。
安倍首相が年頭の記者会見で述べた「改憲への揺るぎなき思い」とは裏腹に、改憲を支持しない層が、支持派を大きく上回る世論調査の結果もある。安倍首相は曲解や歪曲を改め、拙速な改憲論議をやめるべきた。また、「公益」というあいまいな基準を口実に「表現の自由」を制限する「検閲ドミノ」を許してはならない。
MICの行ったセクハラアンケートでは、相談窓口での不適切な対応による二次被害が明らかになった。女性協の調査では在京民放テレビ局の報道・情報番組の最高責任者に女性がいないことが改めて分かった。これを当たり前と捉えてはならない。ジェンダーバランスやジェンダー意識を改善し、信頼されるメディアとしての地位を守ろう。
そのシンボルといえる首里城を失った沖縄では、辺野古の埋め立てをめぐる「民意の踏みにじり」が続いている。昨年2月の県民投票では圧倒的多数の埋め立て反対票が集まった。この結果を無視して工事を強行する政府の対応を我々は断じて許さない。
10年後の放送を魅力ある産業にしていくためにも、目先の利益ばかりを追求する経営者を許してはならない。積み上げられた内部留保をヒトとモノへの投資のために活用するのは「今」だ。未来を担っていく労働者のために強い意志をもって声を上げよう。すべての放送労働者の団結により、労働組合の社会的な使命を果たすとともに、賃上げと労働環境改善で放送の未来をつくろう!
2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会
「事業主が職場における優越的な関係を背景とした⾔動に起因する問題に関して雇⽤管理上講ずべき 措置等についての指針(案)」に係るパブリックコメント(2019年12月20日)
全国のテレビ・ラジオ局や放送関連で働く労働者で組織する⽇本⺠間放送労働組合連合会(⺠放労連)は、厚労省の「事業主が職場における優越的な関係を背景とした⾔動に起因する問題に関して 雇⽤管理上講ずべき措置等についての指針(案)」(以下「指針案」)に対し、以下のように意⾒ を述べる。
指針案はまず、パワハラについて「職場において⾏われる1優越的な関係を背景とした⾔動であって、2業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、3労働者の就業環境が害されるもの」と定義されているが、これでは実態を捉えきれない。パワハラは職場に限らず、終業後の居酒屋や宿泊先などでも多発している。また「業務上必要かつ相当な範囲」というあいまいな規定が、かえってパワハラを否定する理由として利⽤されかねない。
そして、パワハラに「該当する例」が例⽰されているが、具体的な事例が乏しく、指針案として極めて不⼗分である。「⾝体的攻撃」には「机を叩く」などの間接的な暴⼒も含まれるべきであり、また⾦銭⽀払いなどをめぐる「経済的な嫌がらせ」も該当例に加えるべきである。また、「パワハラに該当しない例」は、加害者側や事業主に「⾔い訳」を⽤意することにもなるため、全⾯的な削除を求める。
パワハラ防⽌の措置義務としては、すべての労働者を対象とした最低年⼀回の研修が必要で、その研修内容も、どのような⾏為がパワハラに該当し、懲戒処分の対象となるのかについて具体的に⽰すべきである。就業規則でパワハラ⾏為を懲戒処分の対象とすることや、事業主はパワハラ防⽌規定の職場への徹底を求めることも指針案に明記すべきである。そして、相談者の⽴場に⽴って有効に機能する相談窓⼝の設置、相談者の秘密厳守や相談したことによる不利益取り扱いの禁⽌なども明記すべきである。
また、さまざまな労働者が発注元や取引先などの第三者からハラスメントを受ける事例が多数報告されているが、指針案では、第三者からのハラスメントに関する事業者の取り組みは「望ましい措置」にとどまっているのは極めて問題である。雇⽤関係になくても業務上の「発注者」という優越的関係を背景としたハラスメントは番組制作や放送の営業職などでも報告されており、こうしたハラスメントの防⽌には、発注者企業が雇⽤管理上の配慮または措置を求める「義務」を指針に明記する必要がある。
とくに、フリーランスで働く者には、企業が社内向けに設置した相談窓⼝は利⽤できず、労働局などの⾏政の窓⼝も事実上使えない状況で、現状では相談先が⾒当たらない。また、フリーランスについても、ハラスメントを相談したことによる「不利益取り扱いの禁⽌」なども「義務」として指針に明記されない限り、⽴場の弱いフリーランスは安⼼して相談することもできない。
このほか、性的指向・性⾃認に関するハラスメントは「SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity)ハラ」と呼称され、性的マイノリティの労働者の労働環境を悪化させるうえ、深刻な⼈権侵害を引き起こすものと⾔えるが、ハラスメント防⽌の法整備の中では直接的な規制の対象となっていない。
しかし、法改正を審議した衆議院・参議院の附帯決議でも⾔及されていることから、指針案にSOGIハラ防⽌についても具体的な該当例や措置義務について盛り込むべきである。
指針案は全体として、パワハラの加害者側や事業主を免罪するためのような⾊合いが強く、被害者保護という本来の趣旨に⽴ち返るべきである。ハラスメントに際しては、被害者側に可能な限り寄り添い、被害者の意向に沿った解決がはかられるよう、指針案は全⾯的に⾒直される必要がある。
以 上
テレビ朝日『報道ステーション』スタッフ「派遣切り」の撤回を求める 委員長談話(2019年12月26日)
民放労連委員長談話
テレビ朝日『報道ステーション』
スタッフ「派遣切り」の撤回を求める
2019年12月26日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 土屋 義嗣
テレビ朝日の看板報道番組『報道ステーション』で、2020年4月の番組リニューアルに向けて、社外スタッフを大量に契約終了させることが明らかになった。社員スタッフも大幅な異動が予定されているというが、社外スタッフの契約終了は事実上の「解雇」に相当し、2008年のリーマンショックによる「派遣切り」が大きな社会問題となり、私たち放送メディアも時間を割いて放送したことは記憶に新しい。
番組が継続するにもかかわらず、「人心一新」を理由にスタッフの雇用不安を引き起こすような人員の入れ替えを行うことは、社会に一定の影響力を持つメディア企業としてあってはならない。会社は「新たな雇用先を確保する」としているが、それでも将来に対する不安は大きなものとなることは否めない。事実、契約終了を通告されたスタッフの中には、ショックで体調を崩した人も現れたという。強引で極端な労務政策は、番組スタッフ以外にも不安を広げ、テレビ朝日で働くすべての人々のモチベーションに極めて深刻な影響を及ぼすことになりかねない。
スタッフの声に耳を傾けず、一方的な理由で契約終了を宣告するのは、働く者の権利を踏みにじる行為であり、放送で働く労働者を組織する民放労連として看過できない。
テレビ朝日には、今回の「派遣切り」の再考・撤回を強く求めるとともに、働く者の立場に立った企業として生まれ変わるよう、それこそ「人心一新」をはかることを求めたい。
以 上