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よみうりテレビサービス不当解雇撤回を求める決議(2022年7月31日)

 よみうりテレビサービスは、2020年1月17日、自社の無期雇用のA組合員が職場である読売テレビに出社するところを待ち構え、入館証を取り上げて自宅待機命令通知書を突きつけ、A組合員が私物を持ち出す時間さえも与えず社外に追い出した。すぐに組合に加入し、組合は解雇撤回を求め幾度も団体交渉を申し入れたが、会社は応えず、自宅待機を延長し、2月14日に一方的に解雇通知書を送りつけ解雇した。
 会社が出してきた解雇理由証明書には解雇理由が7項目記載されている。しかし、いずれも具体的事実が証明されているものはなく、解雇に値するものでもない。そもそも解雇前にA組合員に意見を聴く機会も与えず、一方的にA組合員の行動を問題視した質問状を送りつけ、自宅待機を命じた経緯にも問題がある。解雇理由の詳細を明確にするのは、A組合員の解雇を決定したよみうりテレビサービスの社会的な責任であるが、2年以上経った今も詳細を明らかにしようとせず、会社役員が全員交代した現在も誠実な態度も示さず、時間を引き延ばしているだけである。労働組合は再三にわたってA組合員の解雇撤回を申し入れている。解決に向け行動しなければならないのは、よみうりテレビサービスの経営陣である。

 民放労連第135回定期大会の名において、あらためてA組合員の解雇撤回を強く求める。
 右、決議する。

2022年7月31日
日本民間放送労働組合連合会第135回定期大会

株式会社よみうりテレビサービス代表取締役社長  原 俊一郎 殿

民放労連第135回定期大会アピール(2022年7月31日)

 例年になく早い夏の訪れを迎え、連日、厳しい暑さが続く中、私たちは2020年1月以来、2年半ぶりにリアルとオンラインの併用で民放労連第135回定期大会を福岡で開催しました。大会直前、コロナ第7波による感染者急増からハイブリッド開催を危ぶむ声もありましたが、会場参加者からは「議論が非常に盛り上がった」「対面で行うことの意義を大きく感じた」という声が上がりました。

 ロシア軍によるウクライナへの軍事進攻は、平和の大切さを改めて認識させられました。京都放送労組などでは戦争の悲惨さを伝えるための取り組みがなされています。一方、戦いの長期化は、原油高や物価高などの形で私たちの生活にも影響を与え始めていて、物価上昇に対応するためにも賃金の引き上げは急務です。

 今春闘では、TBSやフジテレビといったキイ局でもベア回答を獲得したほか、共闘会議で到達目標を設定した広域U局では、ほぼすべての組合でベアを獲得しました。今後も生活を守り、より魅力的な職場にするためにも賃上げやさまざまな制度を勝ち取れるよう、年末闘争、来春闘と手を携えていきましょう。

 大会では、若手の離職や組合活動の「世代交代」「若返り」が大きなトピックスとなり、今後、民放労連としても優先して取り組んでいくことになりました。総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」では、「マスメディア集中排除原則」の緩和を求める提案が出されました。今後、民間放送局の大規模統合が行われる可能性があり、労働条件が改悪されないように準備や研究を急ぐ必要があります。近畿地区労組からは、よみうりテレビサービス労組の不当解雇撤回についての報告とさらなる協力要請がありました。女性協議会からは、民放の意思決定者に女性が非常に少ないという民放テレビ・ラジオ局の女性割合調査の発表がありました。民放の偏ったバランスを是正して、多様性を確保することが求められています。

 多くの組合が発言できるよう行われた分散会では、組合員の減少や若手の組合加入に向けた取り組みとして、労組のユニオンショップ化も視野に入れるべきではないかという提案や人事評価制度の導入やあり方、若手の離職を防ぐ各組合の取り組みなどが議論されました。

 民放労連は、結成以来初となる女性委員長の誕生、本部役員定数の減員など、来年の70周年を前に大きな変革の年を迎えます。時代が大きく変わりゆく中で、労働組合の存在意義と方向性が問われています。労働者のよりよい環境、生活水準・待遇が守られるよう、時代の先頭に立って放送・コンテンツ産業の将来を作り出していきましょう。

2022年7月31日
日本民間放送労働組合連合会 第135回定期大会

民放テレビ局・ラジオ局女性割合調査報告(2022/7/14)

2022年7月14日
民放労連女性協議会

■調査の目的
全国・在京・在阪の民放テレビ局の社員および意思決定層の女性比率を調査し、男女比という点でダイバーシティの実現度を明らかにする。
■調査対象  全国の民放テレビ局127社 民放ラジオ局98社(テレビ放送兼営31社、ラジオ単営67社)
■調査期間  2021 年 4 月~ 2022年 3 月の任意の時点
■調査方法
・一部発表があるものについては会社のHPや就職サイトのデータを使用した。そのほかは各社労働組合員が独自に調査した数字を記載した。
・「役員」に監査役は含む、顧問、執行役員は含めなかった。

全国の民放テレビ局・ラジオ局の女性役員割合

■テレビ局
127社の役員総数 1814名 女性役員総数 42名 女性役員割合の平均 2.2%
女性会長 1社(岐阜放送) 女性社長 2社(新潟テレビ21、石川テレビ)
女性役員数(127社中)
 女性役員0名 92社(全体の72.4%)
 女性役員1名 30社
 女性役員2名 3社
 女性役員3名以上 2社

■ラジオ局
98社の役員総数 1073名 女性役員総数 32名 女性役員割合の平均 3.3%
女性会長 2社(岐阜放送、広島エフエム)、女性社長 2社(ニッポン放送、エフエム石川)
女性役員数(98社中)
 女性役員0名 72社(全体の73.5%)
 女性役員1名 21社
 女性役員2名 4社
 女性役員3名以上 1社

【全国の民放テレビ局127社の女性役員割合】

【全国の民放ラジオ局98社の女性役員割合】(ラジオ・テレビ兼営社 32 社。赤字で表示。)

在京・在阪の民放テレビ局女性割合

■主な調査結果
・在京キイ局(5社)中 女性役員ゼロは2社、女性局長ゼロは0社だった。
・在阪準キイ局(4社)中 女性役員ゼロは2社、女性局長ゼロ1社だった。
・在京・在阪局ともに、報道部門、制作部門、情報制作部門の局長には女性はひとりもいない

■データについての注釈
・「局長」をカウントしたのは「局」の最高責任者のみ。組織的に会社の直下にある室、事務局、部、の最高責任者についてはカウントしなかった。
・読売テレビの「社員」には特別嘱託、シニアスタッフ、出向者を含まない。
・朝日放送テレビの集計は、出向受入、嘱託(常勤)、契約社員、再雇用者、嘱託を除く。
・テレビ大阪の「社員」には出向者を含まない。
・報道部門、制作部門、情報制作、スポーツ部門については、主に現場で制作する部署を調査対象とし、管理部門を除いた。
・報道部門、制作部門、情報制作、スポーツ部門の最高責任者は、独立した局であれば局長、独立した局でない場合、その組織の最高責任者(基本的には1~2名)の数を集計した。
・社によっては、報道、制作、情報制作、スポーツが併合された組織の場合がある。
・参考:NHK発表 社員女性割合 発表なし 役員(会長・副会長・理事)12名中1名(8.3%)、女性管理職割合発表なし。

【在京の民放テレビ局女性割合】

【在阪の民放テレビ局女性割合】

※1 会社HP発表データ ※2 マイナビのデータ ※3 リクナビのデータ

在京・在阪の民放ラジオ局女性割合

■主な調査結果
・在京局(7社)中 女性役員ゼロは5社、女性ライン管理職ゼロは3社だった。
・在阪局(5社)中 女性役員ゼロは3社、女性ライン管理職ゼロは2社だった。

■データについての注釈
・「ライン管理職」は局長と部長と支社長。出向先は除いた。

【在京の民放ラジオ局女性割合】

【在阪の民放ラジオ局女性割合】

問い合わせ先: 民放労連  info@minpororen.jp

<これまでの調査結果>
2021/7/20 全国・在京・在阪 民放ラジオ局の女性割合調査 結果報告
2021/5/24 全国・在京・在阪 民放テレビ局の女性割合調査 結果報告
2020/3/6 メディア女性管理職割合調査の結果について
2019/10 在京テレビ局女性割合調査報告

<女性登用についての要請>
2022/4/11 業界団体への申し入れ(民放連)
2022/3/28 業界団体への要請
2021/2/10会見 日本外国特派員協会(FCCJ)
2021/2/9会見 厚労省
2020/12/1 業界団体への要請

【掲載されました】
2022/7/14 WAN
民放テレビ・ラジオ局の女性割合調査 依然として7割以上の会社で女性役員がゼロ、女性役員割合の平均はテレビが2.2%、ラジオが3.3%と、低い水準 ◆民放労連調査2022

2022/7/15 沖縄タイムス
在京テレビ全局 女性役員が誕生

2022/7/16 しんぶん赤旗
全局で女性役員任命
在京テレビ昨年は2社がゼロ

2022/7/19 11:16 境治@MediaBorder
マスメディア企業でこそクォータ制が良い効果をもたらす〜民放労連の女性割合調査を受けて〜

民放テレビ・ラジオ局の女性割合調査 結果報告(2022/7/14)

2022年7月14日

報道機関各位

民放労連女性協議会

【速報】 在京テレビ全局に女性役員が任命されました!

【調査結果】全国民放テレビ局の72.4%女性役員ゼロ  
全国民放ラジオ局の73.5%女性役員ゼロ
在京・在阪民放テレビ局で制作部門のトップに女性ゼロ

 日頃より、日本民間放送労働組合連合会(以下、民放労連)の活動にご理解・ご協力をいただき、ありがとうございます。
 民放労連では、2018年から民放の女性割合調査発表を行い、日本民間放送連盟(以下民放連)に民放連および加盟社の意思決定者への女性登用を訴えてきました。最新の調査結果についてお知らせいたします。 
 調査の詳細は別紙「民放テレビ局・ラジオ局女性割合調査報告」をご参照ください。

【速報】在京テレビ全局に女性役員が任命 民放連役員は女性ゼロ
今回の調査対象期間では在京テレビで女性役員ゼロの局がありましたが、2022年6月に発表された在京民放各社の役員人事では、それまで女性役員がゼロだった局に女性役員が誕生し、在京テレビ全局に女性役員がいることになりました。まだ割合としては十分とは言えませんが、女性役員ゼロの状態を脱したことは大きな一歩です。今後もより積極的に女性役員割合を増やすことを期待します。

在京テレビ局の女性役員数(2022年7月1日時点)

※「役員」に監査役は含む、顧問、執行役員は含めない。

また、民放連の役員の更新は2年ごとで今年更新でしたが、2022年6月に発表された民放連の理事40名中女性はゼロでした。

調査結果概要
■1年前の調査からの改善が見られなかった。
 2021年4月から2022年3月の任意の時点を調査対象とした今回の調査では、1年前の調査と比較して、全国で女性役員数は全国のテレビ局で2名、ラジオ局で3名増えました。しかし、女性役員ゼロの会社は全国のテレビ局で1社増加、ラジオ局では増減なしでした。依然として7割以上の会社で役員がゼロ役員割合の平均はテレビが2.2%、ラジオが3.3%と、低い水準でした。

全国民放テレビ局調査

全国民放ラジオ局調査

■在京・在阪の民放テレビ局のコンテンツ制作部門のトップに女性はゼロ!
 在京・在阪のテレビ局で、コンテンツ制作部門の最高責任者(報道局、情報制作局、制作局、スポーツ局の局長相当)に1年前の前回調査同様、女性は1人もいませんでした。(今回初めてスポーツ部門についても調査しました。)

目標設定と具体的な計画を立てることが必要。
 7月13日に世界経済フォーラムから発表されたジェンダーギャップ指数によれば、2022年の日本の総合スコアは0.650(前回は0.655)、順位は146か国中116位(前回は156か国中120位)でした。依然として先進国の中で最低レベルであり、1年前から進展はほぼないと言える結果です。今回の民放の調査結果も同様に、1年前と比較して、民放の女性役員の登用状況が変わっていないことが数値上明らかになりました。2020年に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画には、「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める。」とされています。各社、日本のジェンダーギャップ指数の低さについて報道していますが、自社の足元を見直すべきなのではないでしょうか。民放各社や民放連が、現状を直視して自主的に数値的目標を掲げ、目標達成のための具体的な計画を立て、実行しないことには、意思決定層に女性を増やすことはできません。

 また、第5次男女共同参画基本計画第10分野「教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進」には、「メディア等からの情報が子供をはじめ様々な世代に対して固定的な性別役割分担意識等を植え付けず、また、押し付けないようなものとなるためには、メディア分野の経営層や管理職において性別による偏りがないことが重要である。このため、メディア分野等における意思決定過程への女性の参画拡大を促進する。」という記載があります。メディアは、発信する報道内容やコンテンツを通して人々の意識に大きな影響力をもっており、意思決定者に偏りがあることは悪い影響がある一方で、もし改善された場合、社会に与える好影響は小さくないと期待されます。

 また、女性登用は企業の業績にも良い影響があると言われています。経産省は女性登用を含む『ダイバーシティ経営』を「自由な発想が生まれ、生産性を向上し、自社の競争力強化につながる、といった一連の流れを生み出しうる経営」と位置づけており、ダイバーシティ経営をしている企業は、そうでない企業と比べて経営成果が良いという調査結果も発表しています。イノベーションを促進する女性登用は、ビジネスモデルの転換期に立たされている民放の経営課題の解決に寄与するのではないでしょうか。

今後も民放労連では、全国の民放テレビ局・ラジオ局の意思決定者への女性登用を訴えていく予定です。是非、テレビ・ラジオを含む報道各社での報道をお願いいたします。

問い合わせ先: 民放労連 info@minpororen.jp

<これまでの調査結果>
2021/7/20 全国・在京・在阪 民放ラジオ局の女性割合調査 結果報告
2021/5/24 全国・在京・在阪 民放テレビ局の女性割合調査 結果報告
2020/3/6 メディア女性管理職割合調査の結果について
2019/10 在京テレビ局女性割合調査報告

<女性登用についての要請>
2022/4/11 業界団体への申し入れ(民放連)
2022/3/28 業界団体への要請
2021/2/10会見 日本外国特派員協会(FCCJ)
2021/2/9会見 厚労省
2020/12/1 業界団体への要請


2022年6月に交代する民放連の次期役員に 女性を登用するように、申し入れしました(2022/4/11)

2022年4月11日

報道機関各位

民放労連女性協議会

2022年6月に交代する民放連の次期役員に
女性を登用するように、申し入れしました

 日頃より、民放労連の活動にご理解・ご協力をいただき、ありがとうございます。

2022年3月28日に、岸田民放労連副委員長、吉永新聞労連委員長、酒井出版労連委員長の3名で、民放連に、民放連および加盟社で女性登用を促進するよう申し入れを手渡しました。
 現在、民放連の役員は45名中女性がゼロです。2022年6月に交代する次期役員には、30%を目途に女性を登用するよう、申し入れました。
 また、2021年に民放労連が発表した全国民放テレビ局、ラジオ局の女性割合調査によれば、民放連加盟社の女性役員割合は非常に低く、民放テレビ局127社中91社で女性役員ゼロ、女性役員割合は2.2%(1797人中40人)、民放ラジオ局98社中72社で女性役員ゼロ、女性役員割合は2.8%(1051人中29名)でした。加盟社の女性登用を、民放連が積極的に促進することを申し入れました。
 メディアは、発信するコンテンツを通して、受け手の固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に影響を及ぼし、これらが社会課題の設定や意思決定に影響します。メディア内の意思決定層のジェンダーバランス不均衡を改善することは急務です。
 是非、報道各社での報道をお願いいたします。

 
【お問い合わせ】 民放労連  info@minpororen.jp
03-3355-0461

要請文と別紙
https://www.minpororen.jp/?p=2219

業界団体および加盟社の女性登用についての要請

日本民間放送連盟 会長    大久保好男 様
日本新聞協会 会長      丸山昌宏 様
日本書籍出版協会 理事長   小野寺優 様
日本雑誌協会 理事長     堀内丸惠 様

2022年3月28日
日本民間放送労働組合連合会
日本新聞労働組合連合
日本出版労働組合連合会
メディアで働く女性ネットワーク(WiMN)

 貴団体の日ごろの活動に敬意を表します。

 今年の国際女性デーでは、多くのメディアでジェンダー格差の特集が組まれ、様々なイベントが開催されました。その主催者は小・中・高校生や大学生などの若い世代をはじめ、多様な世代・多様な背景の人々で構成されたものも数多く、ジェンダーへの関心の高さ、社会の変化を感じさせてくれました。

 昨年もお伝えしましたように、「持続可能な開発目標(SDGs)」を採択した2015年の国連サミットの「持続可能な社会を作るには、ジェンダーの視点を計画的に主流化していくことが不可欠だ」という宣言に基づき、世界各国のあらゆる分野で女性の積極的登用が進み、日本国内でも、多くの企業や業界団体で事態の改善が進んでいます。
 
 しかし日本のメディアの業界団体では、役員における女性の割合がゼロや僅少な状態が続いたままです。

 私たちはこの現状に強い危機感を抱き、労働組合においては様々なジェンダー平等実現に向けた取り組みを進めています。メディア業界には「各媒体で女性の数は増えている」「差別はなく実力があれば女性でも管理職になれるので対策は必要ない」という声が根強くありますが、この声に加え、不規則な就労、長時間労働に人手不足が常態化したままでは、社会の変化に取り残され、多様な視点からの取材・発信が難しくなるばかりです。このままでは読者・視聴者からの信頼喪失を加速し、政府からの介入を招きかねません。進まない女性登用はメディアにとって死活問題であり、自主、自立のためにも、各団体・企業が自律的に是正策に取り組むよう強く求めます。

 2022年4月1日の改正女性活躍推進法の施行に伴い、同法に基づく行動計画の策定・届出、情報公開の義務化が101人以上300人以下の中小企業にも義務化されます。私たちは、各業界団体の共通課題として、同法の遵守と女性活躍を推進し、業界団体および加盟社での女性登用の目標・計画・実績を公表することを求めます。

 以下にメディア業界の現状と具体的な要請を示します。

【現状】
① メディアの業界団体の役員に女性が少なすぎる。
 日本民間放送連盟(民放連)、日本新聞協会(新聞協会)、日本書籍出版協会(書協)、日本雑誌協会(雑協)=以下「各業界団体」とする=の女性役員人数は、民放連45人中0人、新聞協会53人中0人、書協40人中2人、雑協21人中1人です。各業界団体は、各媒体の倫理水準の向上と業界共通の問題を扱っており、意思決定者には、多様なバックグラウンドをもつ人材を登用し、偏りのない意思決定ができるようにするべきです。

② メディア会社の役員に女性が少なすぎる。
 労組の調査では、民放連加盟のテレビ局127社中91社で女性役員ゼロ、女性役員は1797人中40人。ラジオ局98社中72社で女性役員ゼロ、女性役員は1051人中29名※、新聞38社の会社法上の役員数は、全体319人中、10人※、出版8社の会社法上の役員数は、全体254人中、21人※でした。
 メディア会社の意思決定者に著しく女性が少ないという実態が、数字で明確に示されています。

③ メディアのコンテンツ制作の意思決定者の女性登用が不十分
 労組の調査では、在京テレビ局の番組制作部門のトップに女性はゼロ※、新聞ではデスク・キャップなどの管理職の女性比率は8.5%※、出版では編集長・課長などの管理職の女性比率は22.9%※でした。メディアの意思決定層に女性が少ないことが、ジェンダーに偏りのある情報発信を生み、「無意識の思い込み」につながっています。また、2022年3月に報道された映画監督による女性俳優への性的関係の強要に象徴されるよう、仕事の割り振り、依頼等において、立場の優位性を背景にした性的関係の強要など、性暴力やセクシャルハラスメント・パワーハラスメントの根絶を遅らせている一因ともいえます。多様性を欠いたコンテンツ制作現場や労働環境では、視聴者や読者が離れ、やる気のある人材も集まりません。イノベーションには多様な人材が知恵を出し合うことが必要です。

※別紙、2021年5月民放労連調査、2020年3月新聞労連調査、2020年3月出版労連調査による。

【要請】
① 業界団体の女性役員比率について、数値目標や加盟各社からの女性管理職による特別枠を設け、すみやかに3割以上にすること。長期的に5割を達成する計画を立てること。
② 業界団体にジェンダー・男女共同参画に関する常設委員会を設置し、業界でのジェンダー平等を重要課題の一つにすること。
③ 業界団体の全加盟社が、遅くとも2025年までに役員の3割を女性にする目標をたて、行動計画と共に公表すること。また、全加盟社が、国の女性活躍推進企業データベース(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/ )で情報を公開すること。 

以上

<別紙>
2021年5月民放労連調査
・全国・在京・在阪 民放テレビ局の女性割合調査 結果報告
https://www.minpororen.jp/?p=1815
・全国・在京・在阪 民放ラジオ局の女性割合調査 結果報告
https://www.minpororen.jp/?p=1865

2020年3月新聞労連調査
新聞労連資料

2020年3月出版労連調査
出版労連資料

自民党・情報通信戦略調査会での議論に関する民放労連声明

2022年3月11日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長代行 小寺 健一

 自民党の情報通信戦略調査会は3月9日、民放連とNHKの専務理事の出席を求め、放送倫理・番組向上機構(BPO)やテレビ各局の番組審議会の活動状況について質疑を行った、と民放のニュースが報じました。「BPOや番組審議会が本当に機能しているのか審議したい」という趣旨で、出席した議員からは「テレビ局がネットだけに流す番組もBPOの対象になるのか」「不祥事を起こした政治家が不快な表情をする映像が流れていることに対しBPOは注意しないのか」「BPO委員の人選に国会が関われないか提起したい」といった質問や見解が出されたそうです。

 BPOは、NHKと民放連が共同で2003年に設立した第三者機関です。その委員の人選は、放送局の役職員以外で構成された評議員会によって選任されるなど、放送界からは自立した運営が行われるような工夫がなされています。放送番組をめぐる問題について、BPOでは専門家らが真摯に議論を重ね、多数の意見を社会に公表して放送局に改善を促してきたほか、各地で番組制作者や視聴者を対象にしたセミナー等を開催して、番組の質の向上や放送倫理の確立に大きな努力を払ってきました。
 これらの活動は、権力の介入を排して放送の自律をはかり、視聴者との関係を通じて放送番組の向上をめざすものです。このような存在は世界でも類例がなく、言論・表現の自由を保障する日本国憲法や放送番組編集の自由を保障する放送法の精神を体現するものとして、人々の間で定着しています。

 自民党内では安倍政権以降、BPOの法制化・権限強化や委員選出への国会関与を求める意見を強めています。しかし、今回明らかになった議論では、政治家の映像の使用に関わる意見など、自らの都合のいいように放送番組を左右しようという稚拙な発想もうかがえます。自民党議員はむしろ、第三条「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と明記されている放送法について、一から学びなおすべきでしょう。ましてや「BPOの人選に国会が関わる」ようなことは、前述の「権力の介入を排して放送の自律をはかる」BPO設立の理念に反するもので、認めるわけにはいきません。

 ロシアが突然ウクライナに侵略戦争をしかけ、国際的に緊迫した情勢の下で、虚実入り乱れた情報が錯綜しています。このように人々の情報環境にも大きな影響が及んでいる状況で、私たち民主主義社会の基盤となる言論・表現の自由を脅かすような論議が政権与党内で行われていることに対して、私たちは放送で働く者として、強く抗議します。

 この問題に関するメディアの報道が乏しいことも懸念されます。言論・表現の自由、放送の自由をめぐる重大な問題について、もっと考える機会と材料を提供してほしいと思います。そして、放送の自律・メディアの独立を確保して、視聴者の皆さんとともに、よりよい市民社会を築き上げていきたいと考えます。

以 上

民放労連第134回臨時大会アピール(2022年1月29日)

 新型コロナの感染者数が過去最高水準で急増する中、日々ニュースや情報番組などを通して全国の視聴者・リスナーに必要な情報を通して伝えています。感染リスクと常に隣り合わせの状況で、放送産業で働く皆さんの日々の奮闘に敬意を表します。

 第6波の真っ只中、今回もリモートで開かれた臨時大会。メインテーマは、次の春闘でどうベースアップを勝ち取るか、ということでした。コロナ禍で日々のテレビ・ラジオは平常時より一層欠かせないライフラインになっています。また、政府が経済界に賃上げを求めているほか、このところ電気代やガソリン代、それに生活必需品の値上がりが相次いでおり、こうした物価上昇を上回る賃上げを求めていくべきだという意見が多く出ました。すべての単組でベースアップをはじめとした好回答が勝ち取れるよう力を合わせて行きましょう。

 放送業界を取り巻く環境は、かつてないほど激しく変化しています。15年以上前にはテレビ番組を作るテレビ局や制作プロダクションなど限られた会社しか作れなかった映像コンテンツが、今や個人が簡単に作れる時代です。さらに、1日あたりのテレビの視聴時間は年々短くなっており、YouTubeやネットフリックス、Amazonプライム、TikTokをはじめとしたネット系のコンテンツなどに奪われ続けています。生活の中心はもはや「テレビ」ではなく「スマホ」に移り変わっています。私たちは、こうした厳しい現実から目を背けてはいられません。

 キイ局やローカル局も次々とコンテンツをネットでビジネスに繋げる試行錯誤を急いでいます。NHKに続き、昨年10月から日本テレビにおいて同時配信が始まりました。放送業界は大きな変革を迫られています。今こそ労使で10年後、20年後のあるべき姿を描き、そのためにどう変革していくべきなのかを真剣に協議し、次代の放送・コンテンツ産業を切り拓く時期です。しかし、一方でこうした厳しい経営環境を理由に労働者の待遇を悪化させるような動きは断じて許されません。民放労連はこうした経営の悪手に対しては力を合わせて闘って行きます。

 皆さんが感じておられる通り、民放労連も今大きな岐路に立っています。時代が大きく変わりゆく中で、自分たちに何が求められていて、何を頑張っていくべきなのかを、特に放送の将来を担う若い世代の率直な意見や提案も生かしていきましょう。

 最後に、民放労連は、放送業界で働くすべての組合員が今後も最大限力を発揮できるような環境整備、さらには生活水準・待遇が守られるよう、これからも時代の先頭に立って放送・コンテンツ産業の将来を切り拓く取り組みを展開していきます。力を合わせて頑張っていきましょう!

2022年1月29日
日本民間放送労働組合連合会 第134回臨時大会

民放労連第134回臨時大会「よみうりテレビサービス不当解雇撤回を求める決議」(2022年1月29日)

 よみうりテレビサービスは、2020年1月17日、自社の無期雇用のA組合員が職場である読売テレビに出社するところを待ち構え、入館証を取り上げて自宅待機命令通知書を突きつけ、A組合員の私物を持ち出す時間さえ与えず社外に追い出した。すぐに組合に加入し、組合は解雇撤回を求め幾度も団体交渉を申し入れたが、会社は応えず、自宅待機を延長し、2月14日に一方的に解雇通知書を送りつけ解雇した。
 会社が出してきた解雇理由証明書には解雇理由が7項目記載されている。しかし、どれ一つとして具体的事実が証明されていない上に、解雇されるに値するものでもない。そもそも解雇前にA組合員に意見を聴く機会を与えるべきだったが、一方的にA組合員の行動を問題視した質問状を送っているだけである。解雇理由の詳細を明確にするのは、A組合員の解雇を決定したよみうりテレビサービスの社会的な責任であるが、2年経とうとする今も詳細を明らかにしようとせず、役員が全員交代した現在も誠実な態度も示さず、団体交渉も拒否し、時間を引き延ばしているだけである。労働組合は再三にわたってA組合員の解雇撤回を申し入れている。解決に向け行動しなければならないのは、よみうりテレビサービスの経営陣である。
 
 民放労連第134回臨時大会の名において、改めてA組合員の解雇撤回を強く求める。
右、決議する。

2022年1月29日
日本民間放送労働組合連合会 第134回臨時大会

株式会社よみうりテレビサービス 代表取締役社長 原 俊一郎 殿

労働組合に加入して、より良い働き方と生活を実現しよう

民放労連は、全国の放送局や放送関連プロダクションなど120組合・約7000名が加盟している労働組合です。
民放労連では放送局で働くすべての人の賃金や労働条件の改善を最大のテーマとして取り組んでいます。
経験豊かな相談員が常駐して、いろいろな相談に応えられるようにしています。お気軽にご相談ください。