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フジテレビの経営体制刷新に関する民放労連委員長談話(2025年3月28日)

2025年3月28日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 岸田花子

 民放労連とMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)が呼びかけた「メディアの女性役員比率を3割に」のインターネット署名が、フジテレビで実現しました。署名にご協力いただいたみなさまに、心から感謝申し上げます。

 民放労連は、フジテレビをはじめ、キイ局と民放連に署名を手交しながら、メディアの意思決定層のジェンダー平等が必要な理由について説明して参りました。高齢の男性が大多数であるオールドボーイズクラブの意思決定には同質性のリスクがあり、閉鎖的で、新しい視点や意見を取り入れることが難しい傾向があり、柔軟に働きにくいことや、ハラスメント、反対意見が言いにくい空気につながります。ことメディアではさらに、ニュース項目の選択の偏り、差別・ステレオタイプの表現につながる恐れがあることを指摘しました。
 私たちの署名の思いを受け止めていただき、フジテレビが他局に先駆けていち早く女性役員3割以上を達成したことを、素晴らしいこととして受け止めています。これまで女性役員割合の調査をして遅々として進まなかった様子を見てきましたが、ここまで急激な変化があったことに、驚きを隠せません。

 しかし、これは最初の一歩に過ぎません。ここからが本当に重要な部分です。
 フジテレビには、役員の多様性をコンプライアンス、ガバナンスの向上につなげ、人権侵害がないようにすること、フジテレビで働く全ての人が働きやすい職場にすることを望みます。さらに、取締役の多様性をイノベーションにつなげ、企業価値を高めることを期待しています。また、執行役員、局長、部長、などすべての役職での女性3割を実現し、それを持続することによって、恒久的にジェンダー平等に取り組み続けることを望みます。
 新しい役員には、オールドボーイズクラブの価値観を壊し、企業文化を変えることを期待します。具体的には、役員の働き方を含めた業界での働き方、評価軸を新しい時代にあったものに変えるよう尽力してほしいです。それは必ず企業価値を高めることにつながります。周りに同調しすぎることなく、率直な意見交換ができる取締役会を実現していただきたいです。

 民放労連では引き続き、女性の役員比率向上に向けた取り組みを続け、他メディアにも早急に女性役員3割の実現を求めていきます。

民放労連第140回臨時大会アピール(2025年1月25日)

 新たな春を迎え、民放労連第140回臨時大会を開催した。本年は、戦後80年、阪神淡路大震災から30 年、そして能登半島地震から 1 年という節目の年である。放送業界の労働組合として、これらの出来事を振り返り、犠牲者への哀悼を捧げるとともに、未来への決意を新たにする年としなければならない。

 戦後80年、日本は平和と民主主義の理念のもと復興を遂げてきた。しかし、世界情勢は再び混迷を深めている。今年、トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任したことは、国際的な緊張と不確実性を高める要因となっている。国際的な安全保障への影響が予見される中、メディアとしての役割を果たし、安心して生きられる環境を守るための活動を強化する必要がある。
 また、阪神淡路大震災から30年を迎え、震災で失われた命とその後の復興に尽力した全ての人々に敬意を表する。さらに昨年の能登半島地震は、災害対応の重要性とコミュニティの支え合いの力を改めて教える出来事となった。災害への備えと復興支援の強化、人々の生活基盤を守るための取り組みを今後も続ける必要がある。

 2024年春闘では、記録的な円安と物価高の中でベースアップや賃金引き上げを勝ち取るという成果を上げた。しかし、格差の拡大や雇用の多様化など、労働環境の課題は依然として山積している。特に若年層や非正規労働者を含むすべての働き手の生活向上を目指し、さらなる団結と行動が求められる。
 一方、中居正広氏を巡るトラブルは、単にフジテレビだけに留まる話ではなく、放送業界全体が直面している深刻な課題である。放送業界で働く人々の権利とメディアの倫理が厳しく問われる出来事となった。この問題を単なるスキャンダルとして捉えるのではなく、労働者が安心して働ける職場環境を作るための契機とし、信頼されるメディアを目指すために透明性と公平性を求める声を上げ、業界全体の改善に取り組む。
 民放労連が支援する「国会議員公設秘書による埼玉県報道記者への性暴力事件」に関する国家賠償請求訴訟は、権力と個人の権利の在り方を改めて浮き彫りにした。このような事件を通じて、労働組合は個人の尊厳を守り、権力の暴走を監視するという社会的責任を果たし続ける必要がある。

 職場には、自分が我慢すれば波風立たず業務が進行すると、自身を押さえ込んでいる人がいるのではないか。声をあげづらい環境を見直し、弱者が声をより一層あげやすくし、せっかくあげてくれた声を大事にし、連携をして闘っていくのが組合の存在意義だ。労働組合は非正規・正規にかかわらず、全ての労働者が安心して普通に業務に臨み、自発的にやりがいを持って働ける環境を整えるために全力を尽くす。

 私たちは「壁に立ち向かう卵」として団結し、平和で公正な社会の実現に向けた歩みを止めないことを戦後80年という節目に改めて誓う。次の世代により良い未来を手渡すため、誰もが尊厳を持ち安心して働ける社会を共に築いていこう。

2025年1月25日
日本民間放送労働組合連合会第140回臨時大会

「安心して働ける環境の実現をすべての放送局に求めます」民放労連委員長談話(2025年1月8日)

2025年1月8日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 岸田花子

2024年12月の各週刊誌報道およびフジテレビの声明を踏まえて、事実関係の真偽について言及する立場にはありませんが、民放労連として放送業界におけるコンプライアンスの徹底と働くすべての人々の人権を守る必要性をあらためて強く訴える必要があると認識しています。そこで民放各社に対して、ジェンダー平等と内部通報者の保護を確保するため、ガバナンスをより強化した組織全体の改善を求めます。

民放労連は、すべての労働者が安心して働ける環境を実現するため、以下の取り組みをすべての放送局に求めます。

人権問題への積極的な対応
性的被害やハラスメントの申し立てについて、公正かつ迅速な調査を行い、被害者の回復と権利保護を最優先とした対応を徹底すること。

安全で平等な職場文化の醸成
飲み会や会食への参加を強制されるような状況を排除し、あらゆる職場環境でジェンダーギャップのない相互の尊重を徹底する文化を育むこと。すべての労働者が対等に働ける職場を実現するため、ジェンダー視点を取り入れた制度改革や教育プログラムを積極的に導入すること。

コンプライアンスの徹底
職場内でのハラスメントを根絶するための具体的な行動指針を策定し、法令遵守の精神を基盤とした安全な労働環境を確保すること。

信頼できる内部通報体制の構築と通報者の保護
内部通報者が報復を恐れることなく声を上げられるよう通報体制を整備し、通報者の権利を保護する明確な仕組みを確立すること。

信頼回復のための情報公開
被害者のプライバシーを最大限に尊重しつつ、調査結果や再発防止策を社会に明確に示すことで、業界全体の信頼回復に努めること。

以上について、民放各社に改善を求めていくとともに、民放労連ではすべての労働者が安心して相談できる場としての機能を強化し、コンプライアンスの遵守、人権の保護、ジェンダー平等の推進に全力で取り組んでまいります。

よみうりテレビサービス見せしめ不当解雇撤回を求める決議(2024/7/27)

 よみうりテレビサービスは、2020年1月17日、A組合員が職場である読売テレビに出社するところを待ち構え、入館証を取り上げて自宅待機命令通知書を突きつけ、A組合員が私物を持ち出すことも許さず社外に追い出した。
 会社は労働組合との団体交渉も開かないまま、2月14日に一方的に解雇通知書を送り付け解雇した。
 会社の解雇通知書では「関係者を脅迫する発言をおこなった」こと、読売テレビ番組の「リハーサル現場に立ち入ったこと」などが解雇の主な理由になっていた。
 脅迫したとされる件について、会社は「適応障害・うつ状態」を発症した組合員のメンタルケア担当者に相談内容の秘密録音を命じ、その会話内容から当時の交渉委員長が自身への脅迫と捉え解雇理由としたと判明した。さらに交渉委員長はこの件で被害届を提出しA組合員を刑事告訴してきた。当然不起訴となったが解雇してからもさらに追い詰めてくる非道な行為である。
 2022年3月、よみうりテレビサービス、読売テレビ、読売テレビ社員2人、以上4組を大阪地裁に訴え、裁判で争っていく中、解雇理由であるリハーサル現場立ち入り問題は、会社に有給休暇を申請し許可され、見学許可の手続きも不備がなかったため、その後の解雇理由証明書では内容を変更し、さらに他の解雇理由を後から作り出すばかりである。
 また、「適応障害・うつ状態」が業務上の起因ではないとするために、A組合員が職場のデスクに保存していた個人名義の診断書を、会社は勝手に持ち出し裁判の証拠として提出するという暴挙を行った。
 一人の労働者を見せしめに解雇するため恥も外聞も投げ捨て、メンタルケア担当者の秘密録音、交渉委員長からの告訴、個人情報を勝手に持ち出し公表するなど、個人のプライバシーを侵害し、人権を無視した対応を続けるよみうりテレビサービスの解雇の正当性はひとつもない。よみうりテレビサービスは誠実な態度で早急に解決に向けて行動しなければならない。

 民放労連第139回定期大会の名において、改めて、A組合員の解雇撤回を強く求めるものである。
右、決議する。


2024年7月27日
日本民間放送労働組合連合会第139回定期大会


株式会社よみうりテレビサービス 代表取締役社長 米倉敬太 殿

民放労連第139回定期大会アピール(2024/7/27)

 2024年7月27日。パリのセーヌ川を舞台に行われた33回目のオリンピックの開会式が日本時間の未明に放送された。その数時間後、ここ日本の神戸の地で民放労連第139回定期大会も幕を開けた。視聴者の大きな関心事である日本選手らの活躍をテレビ・ラジオで伝えることは、民間放送の大きな使命の一つである。選手たちだけでなく、現地で取材する仲間や、日本の地で時差と戦いながら中継やニュースの現場で尽力する仲間たちにも、大きなエールを送りたい。
 「平和の祭典」であるはずのオリンピックの熱狂の一方、世界情勢は混迷の中にある。ロシアのウクライナ侵攻から約2年半、イスラエルによるガザ地区攻撃から9か月となるが、いずれも解決の目処は立っていない。銃撃されたトランプが大統領になれば、日米関係に新たな緊張を与える可能性もある。今こそ私たちメディアは、戦禍の悲劇が二度と繰り返されないよう、8月の原爆・終戦にまつわる時期のみならず、絶えず平和へのメッセージを伝え続け、権力に忍び寄る戦争の誘惑を監視する責任がある。
 村上春樹は、2009年にイスラエルの文学賞を受賞した際のスピーチで次のような言葉を残している。「高く強固な壁とそれに打ち砕かれる卵があるなら、私は常に卵の側に立つ」。「壁」は時に戦争を生み出してしまうシステム(体制)、「卵」はユニークでかけがえのない魂を持つ私たち一人ひとりのメタファーだと村上は説明している。そして、「卵」が「壁」に勝てるとしたら、お互いを信じ、魂を寄せ合わせることが必要だとも。
 労働組合とはまさに、小さな卵たちが巨大な壁に立ち向かうための団結そのものと言えるだろう。性暴力と不当解雇に関する継続中の2つの争議については、総力をあげ闘っていくことは必然である。今年の春闘では、日本社会全体の賃上げの流れも影響し、ベアや一時金について昨年以上の大きな成果を獲得した。しかし、記録的円安と物価高は落ち着く兆しがなく、来年以降もこの歩みを止めずにさらなる成果につなげていくことが必須である。他社からの情報が交渉にいかされるケースも多く、我々が団結することの意義は依然として大きい。
 一方で、新しい人事制度の導入や、若手に比重をかけた賃金アップ、雇用形態の多様化などにより、私たち放送業界の労働者全員が一枚岩としてたたかうことが難しい局面も生まれている。放送業界を支える構内スタッフの待遇は依然として厳しいままである。また、コロナ禍を経た社会のリモート対応により、地連を中心とした地域ごとのつながりの良い部分を残しながら、規模や業態の近い全国各地の単組の団結を強めることのメリットも見えてきた。若い世代の組合活動への理解を進め、新しい世代と共に、新たな労働問題にも対応できるよう民放労連を進化させることは、今を担う我々世代の責任である。
 今月、民放労連本部と関東地連の書記局は、それぞれ50年・48年の長きにわたり居を構えた四谷の地を離れ、両国に新たな事務所を共同で構えるという歴史的一歩を踏み出した。これからの将来も、豊かな放送文化が守られ、放送業界が魅力的な職場であり続けられるよう、「労働組合とはこういうもの」という固定観念から脱却し、皆で団結し未来を見据えて歩み続けよう。

2024年7月27日
日本民間放送労働組合連合会第139回定期大会

記事使用料への価格転嫁を求める緊急要請(2024/4/9)

2024年4月9日

日本新聞協会会長 中村 史郎 様
日本民間放送連盟会長 遠藤龍之介 様

日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 岸田 花子

 去年9月、公正取引委員会は、ヤフーなどの巨大IT企業が運営するニュース配信のポータルサイトやアプリに対して、ニュースの提供元である報道機関に支払う記事使用料の差が大きいことをめぐり、「優越的地位の濫用」となり得るという実態調査を公表しました。
 この公正取引委員会の公表により、私たち新聞社やテレビ局が苦労して取材・出稿したニュース記事がいかにIT企業によって安く買いたたかれているか、その一端が初めて浮き彫りとなりました。
 また、政府は、今年1月に労務費や原材料費の上昇分を価格転嫁できていない22の重点業種を発表しましたが、ここで「映像・音声・文字情報制作業」が名指しされています。つまり私たちは政府から価格転嫁を進めるようすでにお墨付きをいただいているのです。
 しかし、両業界とも、その後、価格転嫁は進んでいません。
 その結果、今年の春闘においては、政府や経済界、労働組合がそれぞれの立場で物価高を上回る賃上げができるよう求めていますが、新聞各社や民放各社、その下請け企業において、現状ベースアップをはじめとした賃上げは十分といえるほど進んでいないのです。
 そこで今回、新聞協会と民放連に対し、ニュース配信サイトやアプリを運営するIT企業への価格転嫁を進めるよう、つまり記事使用料の値上げを求めるよう強く要請いたします。
 はっきり申し上げますが、私たちが取材し、出稿した記事は安く買いたたかれるべきものではありません。国民の知る権利に対し、取材を尽くし、十分な情報を提供することは、なくてはならない「社会のインフラ」です。
 タダでは記事は書けません。取材や出稿、配達・放送を含め、記事を出稿するにあたっては、原材料費や交通移動費、それに物流費や人件費などあらゆるコストが上昇しています。こうしたコストアップ分を十分に価格転嫁することで、各企業やその下請け企業が十分な賃上げを一段と進めやすくなると考えます。
 これまで十分に価格転嫁を進めてこなかったことで、賃上げが遅れ、新聞業界、テレビ業界の私たちのもとから、何人もの優秀な同僚たち・仲間たちが離職や転職で去っていきました。私たちは、これ以上人材流出が進めば、両業界の存続が危ういという危機感をかつてないほど強く持っています。
 今年の賃上げは社会的な要請、時代の要請であります。どうか速やかに価格転嫁を進めるようよろしくお願いいたします。
 なお、私どもでは、公正取引委員会をはじめとした政府やIT企業にも同様の申し入れを進める予定です。何とぞよろしくお願い申し上げます。

以 上

記事使用料への価格転嫁を求める緊急要請(2024/4/8)

2024年4月8日

日本新聞協会会長 中村 史郎 様
日本民間放送連盟会長 遠藤龍之介 様

日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 岸田 花子

 去年9月、公正取引委員会は、ヤフーなどの巨大IT企業が運営するニュース配信のポータルサイトやアプリに対して、ニュースの提供元である報道機関に支払う記事使用料の差が大きいことをめぐり、「優越的地位の濫用」となり得るという実態調査を公表しました。
 この公正取引委員会の公表により、私たち新聞社やテレビ局が苦労して取材・出稿したニュース記事がいかにIT企業によって安く買いたたかれているか、その一端が初めて浮き彫りとなりました。
 また、政府は、今年1月に労務費や原材料費の上昇分を価格転嫁できていない22の重点業種を発表しましたが、ここで「映像・音声・文字情報制作業」が名指しされています。つまり私たちは政府から価格転嫁を進めるようすでにお墨付きをいただいているのです。
 しかし、両業界とも、その後、価格転嫁は進んでいません。
 その結果、今年の春闘においては、政府や経済界、労働組合がそれぞれの立場で物価高を上回る賃上げができるよう求めていますが、新聞各社や民放各社、その下請け企業において、現状ベースアップをはじめとした賃上げは十分といえるほど進んでいないのです。
 そこで今回、新聞協会と民放連に対し、ニュース配信サイトやアプリを運営するIT企業への価格転嫁を進めるよう、つまり記事使用料の値上げを求めるよう強く要請いたします。
 はっきり申し上げますが、私たちが取材し、出稿した記事は安く買いたたかれるべきものではありません。国民の知る権利に対し、取材を尽くし、十分な情報を提供することは、なくてはならない「社会のインフラ」です。
 タダでは記事は書けません。取材や出稿、配達・放送を含め、記事を出稿するにあたっては、原材料費や交通移動費、それに物流費や人件費などあらゆるコストが上昇しています。こうしたコストアップ分を十分に価格転嫁することで、各企業やその下請け企業が十分な賃上げを一段と進めやすくなると考えます。
 これまで十分に価格転嫁を進めてこなかったことで、賃上げが遅れ、新聞業界、テレビ業界の私たちのもとから、何人もの優秀な同僚たち・仲間たちが離職や転職で去っていきました。私たちは、これ以上人材流出が進めば、両業界の存続が危ういという危機感をかつてないほど強く持っています。
 今年の賃上げは社会的な要請、時代の要請であります。どうか速やかに価格転嫁を進めるようよろしくお願いいたします。
 なお、私どもでは、公正取引委員会をはじめとした政府やIT企業にも同様の申し入れを進める予定です。何とぞよろしくお願い申し上げます。

以 上

~民放労連から新聞協会、民放連に申し入れ~  テレビ、新聞のニュース記事作成のコストを、ヤフーなどのニュース配信プラットフォームに提供する際の使用料に、適正に「価格転嫁」することを求める要請を提出(2024/4/12)

報道機関各位

日本民間放送労働組合連合会

 日頃より、日本民間放送労働組合連合会(以下、民放労連)の活動にご理解・ご協力をいただき、ありがとうございます。
 民放労連は、日本新聞協会、日本民間放送連盟に対して、提供しているニュース記事に関して、ニュース配信サイトやアプリを運営するIT企業への価格転嫁を進めるよう、つまり記事使用料の値上げを求めるよう強く要請しました。 申し入れの全文はこちらです。 
新聞協会 https://www.minpororen.jp/?p=2777
民放連  https://www.minpororen.jp/?p=2781

 2023年9月、公正取引委員会は、ヤフーなどの巨大IT企業が運営するニュース配信のポータルサイトやアプリに対して、ニュースの提供元である報道機関に支払う記事使用料の差が大きいことをめぐり、「優越的地位の濫用」となり得るという実態調査を公表しました。この公正取引委員会の公表により、私たち新聞社やテレビ局が苦労して取材・出稿したニュース記事がいかにIT企業によって安く買いたたかれているか、その一端が初めて浮き彫りとなりました。 (2023/9/21 日経新聞

 政府は、2024年1月に労務費や原材料費の上昇分を価格転嫁できていない22の重点業種を発表しましたが、ここで「映像・音声・文字情報制作業」が名指しされています。マスメディアは政府から価格転嫁を進めるようすでにお墨付きをいただいているにもかかわらず、その後も価格転嫁は進んでいるとは言えません。

 私たちが取材し、出稿した記事は安く買いたたかれるべきものではありません。国民の知る権利に対し、取材を尽くし、十分な情報を提供することは、なくてはならない「社会のインフラ」です。取材や出稿、配達・放送を含め、記事を出稿のための、原材料費や交通移動費、それに物流費や人件費などあらゆるコストが上昇している中、ニュース制作現場でも費用削減を強いられ、労働環境にも影響が見られるのが実態です。

 こうしたコストアップ分を十分に価格転嫁することで、各企業やその下請け企業が十分な賃上げを一段と進めやすくなると考えますが、これまで十分に価格転嫁を進めてこなかったことで、賃上げが遅れ、新聞業界、テレビ業界の私たちのもとから、何人もの優秀な同僚たち・仲間たちが離職や転職で去っていきました。私たちは、これ以上人材流出が進めば、両業界の存続が危ういという危機感をかつてないほど強く持っています。

 今年の賃上げは社会的な要請、時代の要請です。価格転嫁は労使共通の課題だと考えます。
 今後民放労連では、公正取引委員会をはじめとした政府やIT企業にも同様の申し入れを進める予定です。

問い合わせ先: ⺠放労連 03-3355-0461 info@minpororen.jp


労働組合に加入して、より良い働き方と生活を実現しよう

民放労連は、全国の放送局や放送関連プロダクションなど約110組合・約6,200名が加盟している労働組合です。
民放労連では放送局で働くすべての人の賃金や労働条件の改善を最大のテーマとして取り組んでいます。
経験豊かな相談員が常駐して、いろいろな相談に応えられるようにしています。お気軽にご相談ください。

よみうりテレビサービス見せしめ不当解雇撤回を求める決議(2024/1/27)

 よみうりテレビサービスは、2020年1月17日、自社の無期雇用のA組合員が職場である読売テレビに出社するところを待ち構え、入館証を取り上げて自宅待機命令通知書を突きつけ、A組合員が私物を持ち出す時間さえも与えず社外に追い出した。すぐに近畿地区労働組合に加入し、労働組合は解雇撤回を求め幾度も団体交渉を申し入れたが、会社は応えず、自宅待機を延長し、2月14日に一方的に解雇通知書を送りつけ解雇した。
 会社が出してきた解雇理由証明書には解雇理由が7項目記載されている。しかし、いずれも具体的事実が証明されているものはなく、解雇に値するものでもない。そもそも解雇前にA組合員に意見を聴く機会も与えず、一方的に社内での行動を問題視した質問状を送りつけ、自宅待機を命じた経緯にも問題がある。その後、会社は解雇理由の後付けを繰り返し、「適応障害」を発症したA組合員のメンタルケア担当者に秘密録音を命じ、その会話内容から当時の交渉委員長は自身への脅迫と捉え刑事告訴したと判明した。さらには、職場のデスクに保存していた個人名義の診断書を勝手に持ち出し裁判の証拠として提出するという暴挙まで行った。
 また、およそ2年ぶりに開かれた団体交渉では、マイナンバーカードなどの私物返還を求めたが、会社は何ら具体的な回答をせず不当労働行為を続けている。裁判にも真摯に向き合わず、時間を引き延ばしているだけである。労働組合は再三にわたってA組合員の解雇撤回を申し入れている。

民放労連第138回臨時大会の名において、改めて、A組合員の解雇撤回を強く求めるものである。

右、決議する。 

2024年1月27日
日本民間放送労働組合連合会第138回臨時大会

株式会社よみうりテレビサービス 代表取締役社長 米倉 敬太 殿