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民放労連委員長談話 「共謀罪」法案の「強行採決」に抗議する(2017年5月19日)

民放労連委員長談話

「共謀罪」法案の「強行採決」に抗議する

 

2017年5月19日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

「テロ等準備罪」と名称を変えた「共謀罪」関連法案が本日、衆議院法務委員会で、与党などの賛成多数で可決とされた。これまでの国会審議では、野党の質問に対して法務大臣がまともに答弁できない状況が相次ぎ、各地では多くの市民、法律家、学者、労働組合やさまざまな団体が強い反対の声を上げているにもかかわらず、政府・与党が国会内の「数の力」で強引に法案採決を行ったことに対し、私たちは強い怒りをもって抗議する。

具体的な犯罪行為がなくても、その相談をした疑いがあれば身柄拘束や家宅捜索も可能となるという「共謀罪」は、捜査当局が人々の内心にまで踏み込んで罪に問うものであり、思想・信条の自由、言論・表現の自由、集会・結社の自由などの基本的人権をないがしろにする、憲法違反の疑いが強い法案だ。

「一般人は対象としない」と政府は説明するが、自らテロリストと認める組織など存在するはずもなく、結局は政府や捜査当局の恣意的な判断で、平和的に活動している市民団体や労働組合などにまで際限なく拡大して、「テロ集団」のレッテルを貼って摘発することが可能となる。テレビ・ラジオをはじめとする報道機関の日常的な取材・報道活動や、番組制作のための打ち合わせなどの通常業務、また労働組合としての正当な活動までが犯罪とされかねないこの法案を、私たち放送の現場で働く者は絶対に認めることはできない。

私たちは、平和的な民主主義社会と相容れない「共謀罪」関連法案を廃案に追い込むまで、幅広い仲間たちと共にたたかい抜くことを、改めてここに宣言する。

 

以 上

総務省・放送を巡る諸課題に関する検討会「地域における情報流通の確保等に関する分科会とりまとめ案」に対する民放労連の意見

総務省・放送を巡る諸課題に関する検討会「地域における情報流通の確保等に関する分科会とりまとめ案」
に対する民放労連の意見を提出いたしました

総務省・放送を巡る諸課題に関する検討会「地域における情報流通の確保等に関する分科会とりまとめ案」に対する民放労連の意見

2017年5月10日

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

放送を取り巻く環境が大きく変化し、放送業界が一段と厳しい状況を迎えているこの時期に、政府が「頑張るローカル局を応援する」と題した提言を打ち出すことについては歓迎したい。しかし、この「取りまとめ案」に示されている「国の取り組むべき課題」は、的外れなものが少なくなく、むしろ弊害となりかねないことが危惧される。

 

「案」では、ローカル局が「特に、災害時に、国民の生命・財産の安全確保に必要な情報を効率的に伝達するメディアとして重要な役割を果たしている」としている。むろんこの認識に誤りはないが、災害放送の重要性ばかりをことさらに強調することは、かえってローカル局の果たすべき役割の過小評価につながるおそれがある。ローカル局には、豊かな地域性を背景に、報道のみならず娯楽、芸術、また地域に暮らす人々の活動を各地に発信するなどの幅広いコミュニケーション活動を担う公共的機能が期待されている。そうした日常の放送活動で培った信頼感が災害時にも大きな力となる、という関係にあるのであって、災害時のみに突然に放送局が公共的な重要性を発揮するわけではない。

 

「国の取り組むべき課題」としては「地域の放送コンテンツの二次利用の促進」「地上波4K放送の実現に向けた研究開発」「放送コンテンツ海外展開支援事業の新たな支援方策の検討」が掲げられているが、現在の政策の延長線上にあるこれらの策が地域の視聴者の期待に応えるものとは到底考えられない。とりわけ、新たな受信機器の購入など視聴者に過大な負担を強いることになる「地上波4K」を十分な検証もなくやみくもに推進することは、視聴者保護の観点から即刻中止すべきである。

 

「案」では「ローカル局の人材確保・育成の必要性」が言及されながら具体的な支援策は示されず、自助努力に任されているかのようだ。放送を担う人材の確保・育成に向けて、放送の多元性・多様性・地域性や表現の自由の確保に資する積極的な支援策が緊急に求められている。また、コンテンツの二次利用や海外展開が不可能と言っていいローカルラジオ局をいかに支援・活性化させるかについて、一切言及がない。政府がラジオ局支援に消極的だとすれば、それこそ災害放送の重要性に鑑みても大きな矛盾ではないか。

 

ローカル局の経営基盤の安定化は、地域の視聴者のニーズに即してはかられるべきであり、国策に沿った事業を展開しようとする放送局だけを恣意的に支援するような行政のあり方は、間接的な言論統制にもなりかねず、強い懸念を抱かざるを得ない。

 

以 上

民放労連委員長談話・「共謀罪」法案の閣議決定に抗議する 発表

民放労連委員長談話・「共謀罪」法案の閣議決定に抗議する

 

民放労連委員長談話・「共謀罪」法案の閣議決定に抗議する

2017 年3 月21 日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

「テロ等準備罪」と名称を変えた「共謀罪」関連法案が本日閣議決定され、

国会に上程されることとなった。多くの反対・懸念の声を顧みることなく、強

引に法案提出に至ったことは極めて遺憾であり、強い怒りをもって抗議する。

具体的な犯罪の実行行為がなくても、その相談をした疑いがあれば強制捜査

の対象にできるという共謀罪は、人々の内心そのものを処罰する法律であり、

その「共謀」を立証するためには、捜査当局による盗聴や私信メールのチェッ

クなど、著しいプライバシー侵害が拡がる恐れが強い。思想・信条の自由、言

論・表現の自由、集会・結社の自由などを踏みにじり、「監視社会」「密告社会」

をもたらす危険極まりない法案だ。

自らテロリストと認める組織など存在せず、結局は政府や捜査当局の恣意的

な判断で、平和的に活動している市民団体や労働組合などにまで際限なく拡大

して対して「テロ集団」のレッテルを貼って摘発することが可能となる。日常

的な取材・報道活動や、労働組合としての正当な活動まで犯罪行為とされかね

ないこの法案を、私たち放送の現場で働く者としては絶対に認めることはでき

ない。

憲法違反の疑いが強い「共謀罪」関連法案を廃案に追い込むまで、私たちは

幅広い仲間と共同して、たたかい抜くことを宣言する。

以 上

【民放労連 広域U局労組共闘会議声明】 「平成の治安維持法」共謀罪を認めない!

民放労連広域U局労組共闘会議声明

「平成の治安維持法」共謀罪を認めない!

 

「平成の治安維持法」と呼ばれるテロ等準備罪、いわゆる「共謀罪法案」が国連越境組織犯罪防止条約を理由に今国会に提出されようとしている。共謀罪は2人以上の人が犯罪を行うことを話し合って合意することを処罰対象とする犯罪。近代刑法は犯罪意思だけでは処罰せず、具体的な結果や被害が現れて初めて処罰対象になるとしている。近代刑法の原則から逸脱した考え方に基づいていると言える。

共謀罪は、「予備」や「合意」だけで処罰する可能性を完全に否定することはできない。単に疑わしいとか特定の考え方と違うというだけで人が処罰されるような事態を招きかねない。安倍首相は「一般人は対象外」、「普通の団体には適用しない」、「対象犯罪は絞り込む」などと説明しているが、「普通の団体」の定義はあいまいで、政府や捜査当局の意向次第で、労働組合や市民団体、政党にまで広げられる恐れがぬぐえない。捜査機関による会話の盗聴やメールのチェックなど、プライバシーを侵し平穏な市民生活を脅かすことも危惧される。

安倍首相は「東京オリンピックの成功の為」、「テロ対策」と声高に叫ぶが、日常的な取材・報道活動、労働組合の活動にも深刻な影響をもたらすこの法案を、私たち放送で働く者は絶対に認めるわけにいかない。過去三回国会に提出され廃案となった共謀罪法案の提出に私たちは今回も断固反対する。

 

2017年2月18日

 

日本民間放送労働組合広域U局労組共闘会議

テレビ埼玉労働組合

東京メトロポリタンテレビジョン労働組合

千葉テレビ放送労働組合

テレビ神奈川労働組合

びわ湖放送労働組合

京都放送労働組合

奈良テレビ放送労働組合

サンテレビジョン労働組合

【民放労連声明】「共謀罪」の国会提出は断念すべきだ

【民放労連声明】

「共謀罪」の国会提出は断念すべきだ

 2017年2月10日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

過去三回国会に提出され、廃案となった「共謀罪」関連法案が、「テロ等準備罪」と名称を変えて、国会に提出されるという見通しが報じられている。安倍首相は、この法律の成立なしに「東京オリンピックは開催できない」とまで強弁し、今国会での成立に意欲的だと伝えられる。

「共謀罪」は、具体的な犯罪の実行があり、被害があって初めて処罰の対象にされるという「近代刑法の原則」から逸脱した考え方に基づくものであり、「共謀」の立証のために捜査機関による会話の盗聴やメールのチェックなど、プライバシーを侵し平穏な市民生活を脅かす捜査の拡大が危惧されている。政府は、対象となる犯罪を減らし、また適用されるのは組織犯罪集団やテロの可能性のある集団に絞ると説明しているが、その「集団」の定義はあいまいで、政府や捜査当局の意向次第で、労働組合や市民団体、政党にまで広げられる恐れがぬぐえない。国家権力による市民の監視や思想の取り締まりに濫用が及ばない保証がどこにあるだろうか。

この法案はまさに「平成の治安維持法」と呼ばれているように、一般社会におけるコミュニケーション全般を取り締まることになる、危険極まりない法案と言うほかない。

日常的な取材・報道活動、労働組合の活動にも深刻な影響をもたらすこの法案を、私たち放送で働く者は絶対に認めるわけにいかない。

この法案をめぐっては、法務大臣が国会での議論を回避しようとする質問封じの文書を配布し、厳しい批判を受けてすぐに撤回するなど、すでに民主主義の原則をないがしろにするような事態も起きている。国会でのまともな審議に耐えられない法案であることは、過去三回も廃案となっていることからも明白だ。私たちは、政府が「共謀罪」関連法案の国会提出を断念すべきであることを強く訴える。

以 上

第124回日本民間放送労働組合連合会臨時大会 決議6「日米両政府による沖縄に対する弾圧を許さない決議」

日米両政府による沖縄に対する弾圧を許さない決議

 

去年一二月一三日、在沖米海兵隊のMV22オスプレイが沖縄県名護市安部の海岸に墜落し、大破する事故が起きた。普天間飛行場配備から四年で初の重大事故。これまで多数の死者を出している“欠陥機”オスプレイによる事故は当初から予測されていたものの、原型をとどめない機体の残骸が報道されると、県民に大きな衝撃を与えた。

墜落現場は、普天間飛行場の移設予定地となるキャンプ・シュワブにほど近く、新基地が建設されればオスプレイの訓練が周辺では日常のものとなる。日増しに高まる沖縄県民の怒りと抗議の声をよそに、米軍は事故からわずか六日後に飛行再開を強行し、日本政府は理解を示す声明を発表した。さらに米軍は、墜落から一ヵ月も経たない一月五日に事故原因となった空中給油訓練の実施を強行。日本政府はまたしても米軍の対応を追認した。

在沖米軍トップは事故直後に「県民や住宅に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ」と居直り、訓練再開を強行した姿勢からも分かるように、これが米軍の本音だと言わざるを得ない。いまだ植民地意識から抜け出せない米軍と米政府。無批判に追随する日本政府。戦後七二年、沖縄の本土復帰四五年を迎えようとする中、この構図は一ミリも変わっていない。

こうした中、SNSを中心に、沖縄への基地建設に反対する人々への根拠無い中傷が広がっている。客観的な事実や真実よりも、ネット空間で繰り返し垂れ流される感情的な訴えかけが世論に影響を与える「ポスト真実」という言葉がある。米国では大統領選挙で根拠の無い情報が拡散し続け、結果に大きな影響を与えたとさえ言われている。その大きな波が、われわれの足元にも押し寄せている。

東京MXテレビが一月二日に放映した「ニュース女子」は、ネット上にあふれている沖縄に対する根拠無き中傷やデマをそのまま垂れ流した意味で、「沖縄ヘイト番組」と言われる。沖縄本島北部の米軍北部訓練場で、オスプレイが使用する着陸帯の建設に反対する市民らを犯罪者やテロリストのように扱った上、反対する人たちが「五万円の日当」を支給されているなど、当事者に直接取材を行わず客観的裏付けがない一方的な内容が放送された。外部の制作会社による持ち込み番組とはいえ、事実と異なる内容を放送し続けることは放送倫理規定に違反するのは明らかである。報道機関としての自律が問われるこの事態を、われわれメディアで働く人間は真剣に捉えなければならない。

辺野古の海では、二月にも沖縄防衛局によって大型のコンクリートブロックが投入されようとしている。豊かなサンゴ礁はまたしても破壊され、キャンプ・シュワブのゲート前では市民らと警察が激しく衝突するあの光景が再び繰り返されることになる。

工事を進める沖縄防衛局は、一月一八日に県内報道各社に対し、キャンプ・シュワブ沖に設定された最大二・三キロメートルにおよぶ臨時制限区域内に立ち入らないよう文書で通知した。正当な理由なく立ち入った場合、刑事特別法の規定で罰せられる可能性にも言及している。県内では新基地建設に反対する声が根強い中、本格的な工事開始を前に取材活動を委縮させる狙いがあると言える。憲法で保障された表現の自由を大きく損ねる暴挙・弾圧である。到底許されるものではない。

われわれ民放労連は、欠陥機オスプレイの日本からの即時撤去を強く求めるとともに、辺野古新基地建設断念と東村高江のヘリパッド撤去を粘り強く求めていく。

 

右、決議する。

 

二〇一七年一月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二四回臨時大会

第124回日本民間放送労働組合連合会臨時大会 決議5「佐藤典子組合員のKBS京都無期直用化を求める決議」

佐藤典子組合員のKBS京都無期直用化を求める決議

 

株式会社ササキデザインルームに雇用されている京都放送労組の佐藤組合員は、一九年間低い賃金・労働条件でKBS京都一筋にテロップ業務に携わってきた。

とりわけ、KBS京都再建途上で一番厳しい時代にあって、佐藤組合員が職場の仲間とともに粉骨砕身、ニュース番組の放送に力を尽くすことで京都の視聴者に貢献してきた。

KBS京都は、ようやく一昨年一〇月、会社更生手続きによる五〇億円の完全弁済を終え、無事再建を達成した。これをうけ組合は、同年の秋闘で再建に寄与し多大な貢献をしてきた佐藤君の永年の労に答えるため、佐藤君のKBS京都直用化要求を提出した。

そしてこれを実現するため組合は労働局に偽装請負の是正申告を行い、一度は労働局から「法違反なし」との不当な認定がだされたが、組合の粘り強い取り組みで逆転認定を勝ちとり、「法違反」の偽装請負で是正指導をひきだした。

しかし、会社は労働局の指導を曲解し、即時にササキデザインルームとの違法な契約を解除し、佐藤君から仕事を奪った。労働局の指導は本来、労働者を守ることを最優先させることを意味しているにもかかわらずだ。

組合は、佐藤君の雇用確保が急務として、一六年末闘争で①KBS京都への直接雇用②期間の定めのない無期雇用③従前の賃金の確保―を佐藤君要求の重点に置いて交渉を続け、ようやく一月二六日の会社との交渉で念願の直接雇用を勝ちとった。しかしなお、無期雇用とすることには難色を示している。佐藤君は請負会社では一九年間契約更新を繰り返して事実上の無期雇用となっており、直接雇用にあたっては雇い止めの不安のない無期雇用にすることが佐藤君の要求の完全解決のための核心である。

民放労連に結集する私たちは、KBS京都の再建に少なからず貢献してきた自負がある。再建達成後のKBS京都は、今こそ二度と経営危機を起こさぬよう労使が協力していかなければならない。このためにも組合が強く解決を求める佐藤組合員の無期直用化を実現し、KBS京都の再スタートを軌道に乗せることが重要だ。私たちは京都放送労働組合の佐藤組合員無期直用化要求を強く支持し、解決するまで民放労連をあげてともに闘うことを決定した。

貴殿がすみやかに英断をくだし、早急に要求を解決することを強く求めるものである。

右、決議する。

二〇一七年一月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二四回臨時大会

 

株式会社 京都放送

代表取締役社長 千代 正實 殿

第124回日本民間放送労働組合連合会臨時大会 決議4「視聴者の立場から放送・表現の自由を守りぬく決議」

視聴者の立場から放送・表現の自由を守りぬく決議

 

昨年二月、高市早苗総務相が、政治的公平が疑われる放送が行われたと政府が判断した場合、その放送局に対して、放送法四条違反を理由に電波法七六条に基づいて電波の運用停止を命じる可能性に言及した。これを受けて、総務省としても、放送番組の政治的公平の判断において、大臣答弁と同趣旨の「政府統一見解」を明らかにした。これら一連の判断は、放送の政治的公平は番組編成全体から判断するとしてきたこれまでの政府見解を踏み越え、個別の番組を狙い撃ちにして放送局に政治的表現の委縮を迫るものだ。言い換えれば、「政治的公平」に名を借りて、時の政府にとって都合の悪い番組を放送させないよう、放送局に露骨な圧力をかけて健全な報道活動を抑制しようとするものだ。

放送法第三条は「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と規定し、政府や政権政党が放送の内容に不当に介入することを厳に戒めている。総務省の「政治的公平の解釈について(政府統一見解)」は、それ自体が放送法違反として直ちに撤回されなければならない。そもそも、政治的主張に基づいて行動する政権や政党に、放送の政治的公平性を判断する資格などない。

 

一方で、放送に対する視聴者の批判も高まっている。沖縄の米軍基地反対闘争に関してインターネット上に散見される事実無根の虚偽情報で構成したような番組が放送されたことに対して、市民から厳しい抗議活動が展開されている。

放送法四条には「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」とあり、放送局が自ら多角的な論点を提示する番組作りが求められている。放送局が放送の自律を保てないと判断されるような事態が生じるようなことがあれば、すぐさま法的な放送・言論統制が議論の俎上に上ることになるだろう。私たち放送労働者の姿勢もまた、問われていることを忘れてはならない。

視聴者の厳しいメディア批判は、「テレビをはじめとするマスメディアが権力者と結託して国民の知る権利に応えようとしない」ように見られているからだ。首相と頻繁に会食し、それが批判を浴びても一向に改めようとしない一部のメディア企業のトップの姿勢は許されるものではない。このような経営者たちが一刻も早く自ら襟を正すことを、私たちは強く求める。

そして私たち放送で働く者も、さまざまな圧力に屈することなく、視聴者の立場から放送・表現の自由を守りぬくために、よりいっそう団結していくことを宣言する。

 

右、決議する。

 

二〇一七年一月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二四回臨時大会

第124回日本民間放送労働組合連合会臨時大会 決議3「憲法「改正」に反対し、立憲主義と平和を守る決議」

憲法「改正」に反対し、立憲主義と平和を守る決議

 

今年は憲法施行七〇年の節目の年となる。しかし今、多くの人命が犠牲となったアジア太平洋戦争の敗戦から学んで作り上げた憲法が、かつてない危機に直面している。

戦争が終結して七〇年目の一昨年には、一一本もの安保関連法案が政権与党の数の力を背景として一括して強行採決され、戦争ができる国づくりの一歩が踏み出された。さらに昨年九月に戦闘状態が続く南スーダンに派遣された自衛隊のPKO部隊は、「駆けつけ警護」という武器使用を可能とした新たな任務が付与され、要請があれば他国部隊救援や救出のために戦闘行為が行われている場所、すなわち「戦場」に出動し、「撃たれるから撃つ」「殺されるから殺す」という凄惨な場面にさらされることになる。

 

安倍首相は年頭の会見で「新しい時代にふさわしい憲法論議を」と述べ、さらに国会の施政方針演説でも「憲法審査会で具体的な議論を深めよう」と発言し、改憲への意気込みを露わにした。

自民党が党是として掲げる憲法改正の草案は、現行憲法の主旨を否定するものと言わざるを得ず、国民が権力を拘束するという立憲主義の本義から外れ、国家が国民を拘束し、国家に奉仕させんとする意図が明白なものだ。その一例として現憲法の「公共の福祉」に代えて「公益及び公の秩序」という用語を多用し、国民の自由および権利の範囲を恣意的にいくらでも制限できるようにしようとしている。

 

私たち民放労連は、立憲主義を否定する改憲の方向性に、深い憂慮と警戒感を表明する。国家のために個人の権利や表現の自由を制限し、時の政権与党の一存で国の根幹を変えられるような社会にさせてはならない。災害への緊急対応などを理由に、時の為政者に権力を集中させる「緊急事態条項」も、人権の制限と権力の独裁につながりかねないため、決して許してはならない。さらに、思想・信条の制限につながるとして過去三度も廃案となった「共謀罪」の名称を変えただけの「テロ等準備罪」の成立を阻止しよう。

憲法一二条は、私たちが手にする自由及び権利は、「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定め、自由と平和を守るための努力を要請している。この要請に応えて現憲法を尊重・維持し、それを活かして行くために運動を続けることを、私たちはここに宣言する。

 

右、決議する。

 

二〇一七年一月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二四回臨時大会

第124回日本民間放送労働組合連合会臨時大会 決議2「真の「働き方改革」を実現し、労働法制の抜本改正を求める決議」

真の「働き方改革」を実現し、労働法制の抜本改正を求める決議

電通で新入社員の女性が過労自殺した事件は社会に大きな衝撃を与え、日本人の働き方を改めて厳しく問い直すことになった。とりわけ民放という広告とはおよそ切り離せない産業で働く私たちには、決して「対岸の火事」では済まされない重大な問題が突き付けられている。日常化する長時間労働の改善に、私たちはどこまで真剣に取り組んできただろうか。「いのちより大切な仕事はない」。最愛の娘を失った母親の痛切な叫びに、私たちは胸をはって「ウチは大丈夫だ」と答えることができるだろうか。

民放産業はこれまで利益の最大化を最優先に、人減らしを極限まで追求し、あわせて外注化、下請化を可能な限り進めてきた。おかげで「正社員の不足」感はある調査機関の調べでは他の産業を圧してワースト・ワンの不名誉を維持し続けている。放送局の正社員が担ってきた仕事が、はるかに低い賃金や労働条件で非正規の労働者に押し付けられ、産業内の格差がこれまでにないほどに拡大を続けてきた。放送の現場を支える仕事に若い人たちの希望者が眼に見えて減っている。今や放送は若者たちに夢と希望を与えてくれる産業ではなくなりつつあるのだ。

安倍政権は昨年来、「最大のチャレンジは働き方改革」だとして、「同一労働同一賃金の実現」と「長時間労働の是正」に取り組むと繰り返し表明している。これまで規制緩和一辺倒だった自民党政権でさえ、深刻化する労働力不足やいっこうに浮揚しないままの日本経済の低迷に迫られ、少なくともスローガンの上では労働政策の転換を余儀なくされているのだ。

ところが安倍政権は、一方では高賃金の労働者に労働時間規制をはずし残業代をゼロにする労働基準法の改悪案を国会に提出したままで取り下げようとしていない。長時間労働の是正とは真逆の改悪ではなく、実効ある規制のためには、現状ではほとんど青天井の残業時間に厳格な上限ルールを法律に導入することが必要だ。正規と非正規の格差解消には労働契約法や派遣法に不当な差別禁止を盛り込んだ法改正が不可欠である。こうした労働法制の抜本改正を求める国民労働者の声を今こそ強めていかなければならない。

私たち労働組合は職場の声を要求につくりあげ、実現していくために存在している。労使で協定した上限時間が空文化しているなら、人員増や仕事のあり方、特別条項の見直しなどをもっと強く経営者に迫っていかなければならない。非正規労働者の同一労働同一賃金の実現には、非正規労働者自らが声をあげられるように、労働組合のあり方を変えていかなければならない。非正規労働者の労働組合への組織化抜きに、職場での同一労働同一賃金の実現はありえない。

「働き方改革」は今や政府や財界も推進しなければならない国民的な課題になっている。これを職場の改善に確実につなげていくために、職場の声を大きくしていくことこそ、私たち労働組合の課題だ。

真の「働き方改革」を職場から実現し、労働法制の抜本改正につなげるたたかいを今春闘から力強く開始しよう!

二〇一七年一月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二四回臨時大会