投稿者「民放労連スタッフ」のアーカイブ

第126回臨時大会 「民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議」

民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議

【提案 労連本部】

二〇一三年施行の改正労働契約法、二〇一五年の改正労働者派遣法により、雇止めや派遣切りで職を失う恐れが生じる、いわゆる「二〇一八年問題」に直面している。

しかし、この「二〇一八年問題」は、五年にわたって有期雇用で働いてきた労働者が、無期雇用への転換権を手にするチャンスであり、派遣労働者にとっては「雇用の安定」をつかむきっかけになりえるものだ。

報道によると、「二〇一八年問題」を先取りして、無期転換や正社員化を自発的に行う企業や、使用者側の雇い止めの方針を阻止して、雇用を継続させた労働組合が増えている。一方で、契約終了後から再契約までの六か月の空白期間を設け、無期転換権を消滅させる企業も少なくないことが発覚した。

放送業界を見渡すと、十年以上働いているにも関わらず、昨年春の契約更新で今年三月末の雇い止めを宣告された有期契約労働者や、五年で契約を解除され、再び働き始める時に時給を下げられた有期契約労働者もいる。満五年の有期雇用を目前にして雇止めを言い渡されている未組織の労働者や派遣期間が丸三年を経過した後は、職場から追われる派遣労働者がいることを私たちは知っている。そのような労働者に対して私たちは何ができるのか。

京都放送労組は、有期契約労働者の声を正面から受け止め、当該労働者に組合加入を促し、組合全体の運動で、雇い止めを跳ね返し直用化を勝ち取った。さらに今年三月で丸三年を迎える派遣労働者の四月からの直接雇用を会社に約束させた。RBCビジョン労組は労連本部、沖縄地連と連携し、出産を目前に控えた有期雇用の組合員の雇止めを撤回させ、同時に無期雇用を勝ち取った。

放送が健全に発展していくために、将来を担う人材の採用と育成こそが必要だ。放送現場に蔓延する長時間労働や代休も取れない休日出勤といった若い人々の「ブラック産業」とのマイナスイメージを払しょくしなければならない。放送局とプロダクション・関連会社、正社員と非正社員の賃金・労働条件の格差を解消し、人間らしく働き、人間らしく生活できる産業に変えていくために、放送局構内で働くすべての労働者に労働組合への加入を呼びかけ、大きな団結をつくりだそう。

右、決議する。

二〇一八年一月二八日

    日本民間放送労働組合連合会 第一二六回臨時大会

第126回臨時大会 アピール

大会アピール

「大事をなすには寿命が長くなくてはいけないよ」。東京・両国で生まれた勝海舟が残した言葉だ。放送労働者が一人たりとも過労で倒れることなく健康で、労働条件の改善と格差是正を達成し、放送文化を発展させ、平和を守る。私たちはこの「大事」をなすことを志し、海舟ゆかりの地に集まった。

改憲が発議されるおそれが強まっている。「二〇二〇年新憲法施行」をめざす安倍首相は、北朝鮮のミサイル発射実験や中国の領海侵入など不安をあおることで、年内の改憲発議を視野に入れている。安倍政権による改憲の真の狙いは、権力を縛る立憲主義を否定することだ。私たちは現憲法を尊重し、平和と人権、自由を守りぬくため、発議を止める「3000万人署名」などの運動を続けることをあらためて確認した。

 

「一万人の民放労連」をめざす「構内労働者プロジェクトⅡ」で、私たちは企業内組合からの脱却の重要性を学んでいる。京都放送労組は、雇止めになった派遣スタッフについて、京都労働局に偽装請負を認める逆転認定を出させたうえ、直用化を拒否する経営者を退陣に追い込み、二年間の闘争の末、京都放送に直用させた。また、RBCビジョン労組からは、組合に加入する契約社員の雇止めを撤回させ、四月からの無期転換を勝ち取ったことが報告された。私たちはこれらの取り組みを教訓として、単組や地連で学習しなければならない。

沖縄県民が日々、米軍機事故の恐怖にさらされている。去年十二月には、保育園の屋根にヘリの部品が、小学校の校庭にヘリの窓が相次いで落下。今年に入っても既にヘリが三度、民間地などに不時着する事故が続いている。いずれも一歩間違えば大惨事だ。大会の討論では、沖縄地連から「ぜひ自分の地域に置き換えて考えてほしい」と熱い訴えがあった。私たちは相次ぐ米軍機事故に抗議するとともに、普天間基地の即時返還を求める。

 

今や「放送業界はブラック」が常識となりつつある。看板番組の優秀な外部スタッフが低賃金を理由にどんどん辞めている現状も報告され、子どもが放送局に就職することを親が反対する事例も出てきているという。「働き方改革」を会社任せにせず、労働組合が自らディーセントワークの実現をめざす必要がある。また、私たちは討論を通じて、法制化が検討されている高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)や裁量労働制の適用範囲拡大、解雇の金銭解決など労働法制の改悪には断固として反対していくことを確認した。

北海道放送労組は「必ずベアを獲得する」と決意を表明した。すべての労働組合がこの決意を共有して、一八春闘に臨もう!人々が必要とする放送を守るため、社会的な使命を果たすため、いまこそ労働組合の再生が求められている。すべての放送労働者の団結を創り出し、「いのちと健康、雇用と生活を守る一八春闘」をたたかい切ろう!

二〇一二八

         日本民間放送労働組合連合会 第一二六臨時大会 

委員長談話 沖縄の苦悩に「両論併記」はありえない

沖縄の苦悩に「両論併記」はありえない

~MX『ニュース女子』BPO決定を受けた民放労連委員長談話~

2017年12月20日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

12月14日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は、東京メトロポリタンテレビジョン(MX)が今年1月2日に放送した番組『ニュース女子』の沖縄の基地反対運動をめぐる特集について「重大な放送倫理違反があった」との決定を出した。

意見書は、MXに対して「抗議活動を行う側に対する取材の欠如を問題としなかった」「『救急車を止めた』との放送内容の裏付けを確認しなかった」「『日当』という表現の裏付けを確認しなかった」「『基地の外の』とのスーパーを放置した」「侮蔑的表現のチェックを怠った」「完パケでの考査を行わなかった」という六つの点を指摘したうえで「本件放送には複数の放送倫理上の問題が含まれており、そのような番組を適正な考査を行うことなく放送した点において、TOKYO MXには重大な放送倫理違反があった」と断じている。

 

同委員会は今回、放送された内容に関して、沖縄に赴いて現地調査も行い、事実関係について極めて詳細な検証活動を行っている。本来、こうした検証は、調査報道の手法を用いて放送局が自ら行い、視聴者に対して番組を通じて説明することが期待されていたものだったと言える。今回、現地調査を踏まえてBPOから非常に厳しい指摘があったことを、MXの経営陣はもちろん、放送の現場で働く私たちも重く受け止めなければならない。

MXの放送番組基準には「放送を通じてすべての人の人権を守り、人格を尊重する。個人、団体の名誉、信用を傷つけない。差別・偏見の解消に努め、あらゆる立場の弱者、少数者の意見に配慮する」などと明記されている。MXがこの基本に立ち返ることを私たちは強く期待する。また同番組に関してBPOでは、放送人権委員会での審理も続いている。こちらは人権救済を求める申し立てが行われている以上、早急な結論が待たれている。

 

放送倫理検証委員会の検証活動により、ネット上に蔓延しているような沖縄への差別的な言説は、根拠に乏しい意図的な虚偽情報であることが改めて明らかになったと言える。最近はこうした情報も含めて「多角的な論点」として紹介されるケースがみられるが、米軍基地が過剰に集中していることによる被害に悩まされ続けている沖縄の現実を思えば、そこにはもはや形式的な「両論併記」はありえないのではないだろうか。

私たち民放労連の仲間は、誤った情報を正して真実を広く伝えるよう心がけるとともに、沖縄の人々に寄り添う努力を今後とも続けていくことを表明する。

 

以 上

第125回定期大会 「沖縄・辺野古と高江の新基地建設を許さず、戦争の放棄を順守する決議」

沖縄・辺野古と高江の新基地建設を許さず、戦争の放棄を順守する決議

六月一二日、大田昌秀・元沖縄県知事が亡くなり、七月二六日には県民葬が執り行われた。大田元知事は戦前の教育者を育てる沖縄師範学校時代、日本軍が県内の学徒を集めて組織した鉄血勤皇隊の一員として戦場に駆り出され、九死に一生を得た経験を持つ。戦後は琉球大学で沖縄戦研究の第一人者としての地位を確立した。

一九九〇年の県知事選には「基地の全面撤去」と「平和行政」を公約に掲げて初当選した。特に最大の功績は沖縄戦で亡くなったすべての名前を刻んだ「平和の礎」である。

県民葬には安倍晋三首相も参列し「基地負担の軽減」に取り組むと述べた。だが会場から「大田さんの理念である平和への思いを言うなら、宮古島にも石垣島にも辺野古にも基地は造らないでほしい」という切実な声が飛んだ。

沖縄慰霊の日の六月二三日。県主催の沖縄全戦没者追悼式でも「基地負担の軽減」を述べた首相に対し会場から「嘘つき!」「戦争屋かえれ!」の声が浴びせられた。

安倍政権は事あるたびに「基地負担の軽減」を口にし、いかにも沖縄に寄り添っているかのように装う。一方で、東村高江にオスプレイのための広大な着陸帯を造り、名護市辺野古では広大な海域をフロートで囲い、絶滅危惧種のジュゴンを追い出し、多種多様な生き物が生息する豊饒な海を埋め立てる工事を進めている。

翁長雄志沖縄県知事は首相との話し合いを求めているが、首相は無視し続けている。国会では「丁寧に説明しご理解を得ていく」と答弁するが、高江と辺野古では工事を強行した。機動隊と海上保安官を動員して基地建設に反対する県民を連日のように排除し、逮捕している。

これに対し沖縄県は七月二四日、政府を相手に岩礁破砕の差し止め訴訟を那覇地裁に提起した。翁長知事は「国は恣意的に見解を変えた。法治国家のあり方からは程遠い」と政府の姿勢を批判。裁判を通して政府の強権的な姿勢を浮かび上がらせることが出来ると、訴訟の意義を強調した。

辺野古新基地は今後の耐用年数が二〇〇年と言われる。他国の軍隊を沖縄に置き続けることに躊躇することなく突き進む安倍政権に、県民の怒りは沸点に達している。

私たちは、沖縄の高江、辺野古の新基地建設を許すことはできない。憲法が定めた「戦争の放棄」をあらためて心に刻み、沖縄にも、全国にも、戦争のための軍事施設の建設に反対していく。

右、決議する。

二〇一七年七月三〇日

日本民間放送労働組合連合会 第一二五回定期大会

 

第125回定期大会 「表現の自由を守り、信頼される放送の確立をめざす決議」

表現の自由を守り、信頼される放送の確立をめざす決議

今年一月に東京メトロポリタンテレビジョン(MX)で放送された番組『ニュース女子』が、沖縄の米軍基地反対闘争に関してインターネット上に散見される事実無根の虚偽情報で構成されていたことに対して、市民から厳しい抗議活動が続いている。「フェイクニュース」と言われるデマや誤報が世界中で問題となっている今、私たち放送労働者の姿勢が問われている。

放送法四条には、放送局が守るべき倫理規定として「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などを定めている。私たちはこの精神を活かして、視聴者の「知る権利」に応えようとさまざまな番組を制作している。MXが制作中と伝えられる検証番組も、正確な取材に基づいて多角的な論点を提示する番組となることを期待したい。放送局が放送の自律を保てないと判断されるような事態が生じることがあれば、すぐさま法的な放送・言論統制が議論の俎上に上ることを忘れてはならない。

一方で、この放送法四条の問題点を突いた提言が、国際社会から示されている。昨年、訪日調査を行った国連「表現の自由」特別報告者のデビッド・ケイ氏が今年六月、正式な調査報告を国連人権理事会に対して行った。この中では「政府の介入を可能とする法的基盤を削除することでメディアの独立性を強化するため、政府が放送法四条を見直し廃止することを勧めたい」と記されている。これは、政治的公平が疑われる放送だと政府が判断した場合、その放送局に対して電波停止を命じる可能性があるということが大きな議論となったことを受けたものだ。実際に、政府が番組内容を理由として放送局に停波を命じたことは戦後一度もないが、総務省から放送局に対する厳重注意などの行政指導は繰り返し行われ、それが放送関係者への威嚇効果をもたらしている問題が指摘されている。

放送法三条は「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と規定し、政府や政権政党が放送の内容に不当に介入することを厳に戒めている。放送法四条を理由とした政府からの圧力に対しては、放送関係者が放送の自由を主張して、毅然とはねのければいいはずだ。

国連特別報告では、日本のメディアが権力に弱い理由として、ジャーナリスト同志の連帯が乏しいことが指摘されている。また、メディア幹部が政権トップと頻繁に会食していることにも、特別報告は厳しい批判を加えている。ここでも問われているのは、放送の現場で働く私たちの連帯と、経営者への監視の姿勢ではないか。

放送で働く私たちは、不当な圧力に屈することなく、視聴者の立場から放送・表現の自由を守り、信頼される放送を確立しなければならない。視聴者・リスナーの期待に応えるため、私たちはよりいっそう奮闘していくことをここに宣言する。

右、決議する。

二〇一七年七月三〇日

日本民間放送労働組合連合会 第一二五回定期大会

第125回定期大会 「憲法「改正」に反対し、立憲主義を守るために不断の努力を宣言する決議」

憲法「改正」に反対し、立憲主義を守るために不断の努力を宣言する決議

五月三日の憲法記念日に安倍首相は、改憲派集会にあてたビデオメッセージで「憲法『改正』を二〇二〇年までに行う」と発言し、改憲に向けての意欲を露わにした。衆議院の予算委員会で野党が真意を質した所、安倍首相は「自民党総裁としての発言であり、今は首相としての答弁に限定したい」と質問をはぐらかした。そもそも国家権力を規制するための憲法を、立場が違うと言いながらも一国の首相が「改憲」について期限を切ること自体が問題であり、「改憲論議を加速化させることが目的だ」と臆面もなく言い放つことに恐怖さえ覚える。

自民党が政権を取り返した二〇一二年以降、「特定秘密保護法」「安保関連法制」「共謀罪(テロ等準備罪)」を、十分な議論も国民の理解も得ないまま次々と強行採決で成立させた。取材・報道の自由と国民の知る権利に制約をかけ、さらには憲法で保障された思想・信条の自由、内心の自由まで制限しようとしている。日本という国を、法治国家から統制国家に変貌させようとしている。

二〇一二年に発表された自民党の憲法改正草案では、権力を規制するという立憲主義の本義からはずれ、国民を統制し、国家に奉仕させようとする意図が明白なものとなっていた。

何が秘密なのかも明確でない「特定秘密保護法」、法務大臣でさえ理解できない「共謀罪」などの法律がいかにして成立したのかを考えれば、「時の総理大臣の意向」として忖度されることは明らかだ。

私たち民放労連は、立憲主義を否定する改憲に、強く反対する。国家のために個人の権利や表現の自由を制限し、多数派の一存で国の根幹を変えられるような社会に変えてはならない。安倍首相らが企図する改憲の真の狙いは、権力を縛る憲法上の制約を取り払うことである。この暴挙を許さないためにも、真の狙いを隠蔽し、蟻の一穴を狙うかのような「お試し改憲」にも断固反対する。

憲法十二条に、私たちが手にする自由及び権利は、「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定められたとおり、民放労連に結集する私たちは、現憲法を尊重し、自由と平和を守るための運動を続けることを、私たちはここに宣言する。

右、決議する。

二〇一七年七月三〇日

日本民間放送労働組合連合会 第一二五回定期大会

第125会定期大会 「安倍政権が推し進める労働法制改悪に反対する決議」

安倍政権が推し進める労働法制改悪に反対する決議

昨年から安倍政権が進めてきた働き方改革実現会議が、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現を含む実行計画を三月に発表した。

実行計画によると「時間外労働の上限規制」について、月四五時間、かつ、年三六〇時間、特例(特別条項)として年七二〇時間、かつ、繁忙期には休日労働を含み二~六ヵ月平均八〇時間以内、単月では休日労働を含み一〇〇時間未満とし年六回までとなっている。また、勤務間インターバル制度については努力義務に留めている。

あわせて、労働時間規制の適用除外の労働者を作る「高度プロフェッショナル制度」(過労死促進・残業代ゼロ制度)導入を諦めておらず、年間一〇四日以上の休日確保を企業に義務付ける修正方針を七月一一日に明らかにした。

安倍政権はこれらの労働基準法改正案の早期成立を図ろうとしている。働き方改革を「多様で柔軟な働き方を選択可能にする社会の追求」と言うが、これは雇用の流動化にほかならない。

過労死ラインぎりぎりで働いて、いのちと健康を本当に守ることができるだろうか。長時間労働が常態化している放送業界で働く我々は、果たしてこのような上限規制で、心身ともに健康な生活を送れるだろうか。ワークライフバランスの実現や、安定した雇用を求める私たち労働者の願いとは全く逆方向を向いている。七月末に予定されていた「政労使合意」が不成立に終わったのも当然だ。

安倍政権下では、これまでも議論が尽くされないまま、国の根幹に関わるさまざまな法案が強行採決されてきた。私たちの人間らしい生活を脅かす労働法制の改悪に反対しよう。

いのちと健康を守りながら安心して長く働ける職場と安定した雇用を確立するため、民放労連は全力をあげて団結しよう。

右、決議する

二〇一七年七月三〇日

日本民間放送労働組合連合会 第一二五回定期大会

第125回定期大会 「組織を拡大し、民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議」

組織を拡大し、民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議

電通の過労自殺事件の労災認定を契機に、政府が進めている「働き方改革」は、異常な長時間労働の解消が議論の中心となった。この問題は、民放産業も「他人事」で済ますことはできない。すでにキイ局などでは長時間労働の改善をはかる動きがあるが、効果は不確実であり、サービス残業につながっては本末転倒だ。果たして民放産業全体での長時間労働解消は図れるのだろうか。

多くの大企業が「働き方改革」に積極的に取り組んでいるが、そのしわ寄せが中小零細企業や下請企業に付け回されるようでは意味がない。そして日本の労働者人口五四〇〇万人のうち二〇〇〇万人を超えている非正規雇用者が、劣悪な賃金労働条件のまま、さらに増えていくことを見過ごすわけにはいかない。

「賃金が安くても放送の仕事をしたいという若者は、いくらでもいる」と豪語した放送経営者たちは、総額人件費削減のため社員数を減らすとともに賃金抑制に邁進し、派遣や業務委託も増やしていった。低賃金の労働者が増えることにより、「民放はブラック企業」という認識が広まり、放送業界を志望する人が減っている。

新入社員は限られた人数しか採用されず、民放の成長期を支えた多くのベテランが次々と職場を離れる中、働き盛りの世代の離職も年々増加している。

このような状況の中、放送を支える人材を、放送局ではなく関連プロダクションや非正規労働者に依存していく傾向は今後一層顕著となっていくであろう。

今こそ、民放で働くすべての労働者の賃金を引き上げ、長時間労働を解消し、人間らしい生活ができる環境を作っていこう。そのためには企業の枠を超えて民放労働者が団結していく必要がある。目前の二〇一八年問題で解雇される仲間が出ないよう、様々な条件で働く未組織労働者に組合への結集を呼びかけ、ひとりでも入れる組合を全国に広げていく。今までの枠にとらわれない民放労連の姿を追求していこう。

本当の意味での民放労働者のための民放労連を目指し、労働者目線の同一労働同一賃金を実現するべく、民放で働くすべての労働者を結集させていこう。

右、決議する

二〇一七年七月三〇日

日本民間放送労働組合連合会 第一二五回定期大会

第125回定期大会 アピール

大会アピール

 

今年で施行七十年の節目を迎えた日本国憲法。戦争による死者を一人も出すことなく、平和を守り続けてきた。この憲法に対して、安倍首相は憲法記念日に、憲法「改正」を二〇二〇年までに行うと発言した。人類が獲得した普遍的成果としてのこの憲法を、主権者の声も聴かず、独断で変えることが許されるのか。私たちは、立憲主義に基づく平和を堅持し、表現の自由と放送労働者の生活を守るという使命を胸に、暑さ厳しい富山に結集した。

いま、放送の仕事から離れ、また就職先として選ばない若い労働者が増えている。蔓延する長時間労働や局の正社員と関連会社の労働者との間の格差などが原因だが、是正への動きはまだ鈍い。長時間労働対策では、テレビ朝日労組が休日の取得奨励日を獲得して成果を上げる一方、読売テレビでは管理職が勤務表の改ざんをしてまで目標を達成しようとしていると報告があった。労使ともに的確な対応が見いだせない中、民放労連でモデルケースを考えていきたいという提案もあった。放送を守るため、長時間労働の削減、組合員の賃上げ、それに構内スタッフの賃金を改善していくたたかいを強化していこう。

政府は「同一労働同一賃金」を含む「働き方改革」を打ち出す一方、「解雇の金銭解決」や「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」の法制化を推し進めようとしている。安倍政権による労働法制の改悪には断固として反対していく。また、2018年問題では、不安定雇用の労働者の雇止め問題が発生しないよう、労組が日頃から派遣労働者や構内スタッフと向き合う姿勢が求められている。

組織拡大は労働組合が経営との力関係を優位に保つ最も有効な手段だ。「一万人の民放労連」をめざす「構内労働者プロジェクトⅡ」で、私たちは企業内組合からの脱却の重要性を学んだ。構内スタッフの組織化で着々と成果を挙げる京都放送労組の取り組みを労連全体に広げる必要がある。また、構内スタッフの待遇改善や慰労金支給の取り組みを今後も進めるとともに、企業内最賃協定を締結する意義を理解し、すべての組合で要求を出していこう。

辺野古の新基地建設に絡み、沖縄県が7月24日、国を相手に五度目の提訴を行った。沖縄の仲間からは県民の声に耳を傾けず、建設に突き進もうとする国の理不尽な姿勢に対する怒りの声が上がった。

テレビ神奈川労組は20年にわたる未消化代休問題を地方労働委員会のあっせんにより全面解決した。労働委員会という公的機関はもちろん、労連本部や地連、規模別共闘、全国の労連の仲間、さらに県労連や地区労まで巻き込んだことが成果につながった。

多くの市民や労働組合などの反対にもかかわらず、「共謀罪」関連法が成立した。共謀罪は二七七もの犯罪を対象にし、表現の自由や内心の自由を制限。プライバシーの侵害や監視社会が広がるおそれがある。共謀罪法の廃止を求めるあらゆる取り組みに積極的に参加しよう。今求められているのは、国民誰もが平和で安定した人間らしい生活。「新自由主義改革」で広がる社会の閉塞感を払しょくするために、私たちは放送の持つ社会的責任をあらためて自覚し、すべての放送労働者の団結で、「いのちと健康」「雇用と生活」を守っていこう!

 

二〇一三〇

         日本民間放送労働組合連合会 第一二五定期大会 

民放労連委員長談話 「共謀罪」廃止までたたかい抜く (2017年6月15日)

民放労連委員長談話

「共謀罪」廃止までたたかい抜く

2017年6月15日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

「テロ等準備罪」と名称を変えた「共謀罪」関連法案が本日早朝、参議院本会議で与党などの賛成多数で可決とされた。国会審議では法務大臣がまともな答弁もできず、挙句の果てに委員会採決を省略した「中間報告」で本会議に上程して徹夜の国会で強行採決するという、憲政史上恥ずべき行いの結果だった。安倍政権を揺るがす数々の疑惑の追及を恐れた政府・与党の一連の行動は、政治の私物化そのものであり、断じて許されない。

 

具体的な犯罪行為がなくても、その相談をしたという疑いがあれば身柄拘束や家宅捜索も可能となるという「共謀罪」は、思想・信条の自由、言論・表現の自由、集会・結社の自由などの基本的人権を踏みにじる、違憲の疑いが強いものだ。捜査当局の恣意的な判断で、市民団体や労働組合の日常的な活動、テレビ・ラジオなどメディアの取材・報道活動まで摘発の対象とされるおそれがある。「共謀罪」は、国会前で夜を徹して反対の声を上げ続けた多くの市民たちと同様に、私たち放送の現場で働く者としても絶対に容認できない。

 

国連の特別報告者の立場から「共謀罪」法案に疑問を投げかけたジョセフ・カナタチ氏は、日弁連のシンポジウムで「法律が通ってしまったとしても、まだ始まったばかりだ。日本の人々は基本的人権の保障を享受する権利がある」と語った。私たちは、政府・与党らの横暴に強く抗議するとともに、「共謀罪」関連法を廃止に追い込むまで、国内・国外の幅広い仲間と共にたたかい抜く決意を表明する。

 

以 上